本作の撮影は、2023年6月半ばから7月末にかけて行われた。6月下旬のこの日は、神奈川県内の高校に眞栄田、高橋、桜田、美術講師・佐伯昌子役の
まず撮影されたのは、八虎が龍二と佐伯から東京藝術大学の入学難易度を教わるシーン。八虎が同大学の受験を視野に入れる契機になる場面だ。役作りのため8kgほど減量し、セーラー服にスラックス、ポニーテール姿の高橋が現場に入ると、スタッフから「またかわいくなった」と声が上がる。眞栄田は、八虎の動きや心情に関して監督の
続いて、八虎ら美術部員たちが部室内でそれぞれデッサンをするシーンへ。眞栄田は目で見たものを描写する能力に長けており、初めての絵画練習で描いた石膏像が高クオリティで、2度目はさらに上達していたという。しかし、ここでの八虎はビギナーのため「(絵が)うまい人の視線に見える」とモチーフへ向けるまなざしに指摘が入る場面も。眞栄田本人とスタッフたちは、この道40年以上の“レジェンド先生”である新宿美術学院(現:ena美術)の講師・海老澤功のアドバイスを踏まえて、初心者ならではの鉛筆の持ち方、視線、描き方などを1つひとつ検証しながら説得力のあるシーンを作り上げていった。
“絵を描く手元は吹替なし”が本作のテーマのため、眞栄田は2022年暮れ、ほかのキャストは2023年2、3月より木炭デッサンから練習を始め、キャラクターごとの絵の特性や画材に慣れていった。プロダクションデザインには美術に関わりのある人々が携わり、美術スタッフもほとんどが美術大学出身者だ。劇中の美術室は何もないところから石膏像、フェイクグリーン、美術の参考書、掲示板、各キャラクターのロッカーなどで飾り付けられ、画材を洗う水場の絵の具汚れも表現されている徹底ぶり。八虎が美術に魅了されるきっかけになった、100号サイズの天使の絵も置かれていた。
プロデューサーの近藤多聞によれば、主人公の八虎はコストパフォーマンス重視で器用に生きていたキャラクター。彼はそんな八虎が自らを変容させていく様子に惹かれ、「誰かの人生を変えられるような青春映画になるのではないか」との思いで企画を立案した。近藤は主演の眞栄田を「そもそもの才能と彼自身の努力が合わさって、すごいことになっている」と絶賛し、共同プロデューサーの沖貴子も「クラスの人気者ではあるけれど、努力家でストイックだという部分は、八虎と通じるところがある」と評する。
龍二役のキャスティングで重要視されていたのは、“誰から見ても美しいこと”、そして“自分がしっかりあるようでいて、揺らいでもいる龍二を表現できること”。それらを叶える存在が高橋だったそうで、プロデューサーの豊福陽子は「高橋さんは繊細なところも含めて、とても細やかで上手な芝居ができる方」と起用の決め手を明かす。さらに板垣については「ご自身もデジタルアートを発表されていて、群れずに天才として生きているところが“世田介でしかない”と思いました。そこにいるだけで世田介だと感じられるくらい、役そのものでした」と言及した。
「ブルーピリオド」は、8月9日より全国でロードショー。
映画「ブルーピリオド」本予告
眞栄田郷敦の映画作品
リンク
海老澤 功 Isao Ebisawa @ebisquez
またまた、ここにも私の絵画指導、撮影現場での事が語られています。 https://t.co/WxKUH5Xx6T