映画「
五十嵐大による自伝的エッセイをもとにした本作は、耳が聞こえない両親のもとに生まれ、コーダ / CODA(Children of Deaf Adults)として育った五十嵐大を主人公とした物語。幼い頃から日常的に母の“通訳”をしていた大は、やがて周囲から特別な目で見られていることに戸惑い、逃げるように東京へ旅立つ。大を吉沢、母・明子を忍足が演じた。
本作は映画祭期間中に3回上映され、チケットは即日完売していた。ワールドプレミア上映後の舞台挨拶に参加した吉沢と呉は「ニーハオ(你好)」と挨拶。6月21日当日に俳優活動15周年を迎えた吉沢は「こうやってたくさんの方に、この中国という場所で、皆さんとお会いできて、こうやって温かく迎えていただいて、本当に幸せな日だなと」とコメントする。
「コーダ あいのうた」の影響を尋ねられた呉は「私も『コーダ あいのうた』が大好きで、何度か鑑賞しているんですが、本作の企画は『コーダ あいのうた』が日本公開される前に始めているんですね。公開されて、タイミング的にも勉強になることがたくさんありました。『コーダ あいのうた』では、ろう者の役を本当のろう者の俳優さんがやっています。これはアジアという場所でも、ぜひとも実践をしたいなと思いました」と答える。吉沢は出演を決めた経緯について「呉監督の過去の作品が大好きで何回も観させていただいて、いつか呉監督とご一緒したいなと長年思っていました。今回お話をいただき、ものすごくチャレンジングな役ではあるなとは思いつつ、役の状況や環境はとても特殊ではあるんですが、この作品で描いているのはものすごく普遍的な親子の関係というか。反抗期的なものであったり、その中に垣間見れる親子の愛といったものがとても愛おしく感じました。素晴らしい作品だなと思い、ぜひやらせてくださいと」と述懐する。また「自分が演じた役の中で一番気に入っている役はどれか」という観客からの質問には「全部好きですが、大という役は手話であったり、CODAであることだったり、事前に準備しないといけないことがすごく多かった分、なんだか愛着があります。作品を含めて、五十嵐大は大好きな役だなと思います」と話した。
公式記者会見で手話について質問が飛ぶと、吉沢は「2カ月くらい前から手話の練習をしました。セリフの手話を覚えればよいだけでなく、相手の言っていることを聞いて、それに表情でリアクションをします。例えば『大丈夫』という言葉も、表情に乗せることで疑問形になったりと、表情管理も手話の表現になるという点がすごく大変でした。演技のうまい下手以前に、ちゃんと会話が成立しているという空気感がこの作品にどうしても必要だったので、どうやって見せていくか、僕がどれだけ手話を上達できるかということが大変ではありました」と苦労を振り返る。それを聞いた呉は「手話を教えてくださる手話チームのプロの方たちがみんな、驚くくらい吉沢さんのセンスがいいと言ってました。彼はあまり見せていないですが、実はすごく努力をしてくれたのではないかと思います」とたたえた。
そして呉は同映画祭のコンペティション部門に選ばれたことに関して「すごくうれしいです。映画を作るということは、なかなか誰でもできることではないので、ぜいたくなことをさせていただいて。この映画が日本のみならず、まずは上海で世界に発信できるということ、さらにそれがメインコンペティションに選ばれたことがすごくうれしい。しかも今年の審査員長がトラン・アン・ユン監督というのは、ちょっと震え上がってしまって、もう大興奮で来ました。ここで上映していただいて、たくさんの方に観ていただいて、感想などを聞くことができる。私は満足です」と感激しきりだった。
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は9月20日より東京・新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開。
アルテア24 @ROSE888JAPAN
すごいなあ
【イベントレポート】吉沢亮が手話練習を振り返る、上海国際映画祭で「ぼくが生きてる、ふたつの世界」上映 https://t.co/L73DiBVxtj