本作の舞台は、左利きを媒介するウイルスが蔓延し、こども警察による厳しい取り締まりが行われている世界。行方不明になった姉を探す主人公・神戸りんは“運命の人”と出会い、世界を変えようと奔走する。キャストには
「左手に気をつけろ」をいち早く鑑賞したマンガ家の
また併映作品「だれかが歌ってる」について、映画評論家の蓮實重彦は「開始一分から涙が流れ、終わりには滂沱のありさま。これは、晩期高齢者のいま、ひたすら涙もろくなっていることだけでは説明のつかないショットの力だと確信しています」と語っている。
「左手に気をつけろ」は、6月8日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。
映画「左⼿に気をつけろ」予告編
いがらしみきお(マンガ家)コメント
コロナに対してのアンサー映画を世界中で誰が撮るのかと思っていたら、
井口奈己監督がこれほどストレートでやさしくパワフルなものを見せてくれるとは。
甲斐みのり(エッセイスト)コメント
ヌーベルバーグ作品に初めて触れた若き日のように、静かな高揚感を抱きつつ繰り返し観て。
こども警察、運命の人、左手のユートピア、東京の風景、人口9割を占めるという右利きの自分……
のびやかで奔放な井口監督ワールドについて、今すぐ誰かと話したくてたまらない!
小森はるか(映像作家)コメント
「御用だ」の声が微笑ましく聞こえてしまうことに、心がざわつく。
子どもたちの声だから、というだけではない。
一見何事もなさそうな一日が描かれるので、
その声と置き換えられる現実が、私たちの身の回りに溢れていることを思い起こさせるのだろう。
Jinmenusagi(ラッパー)コメント
映画本編が終わっても、こども警察たちの活躍を最後まで見届けた気になるのはまだ早い。ACE COOL監修によるエンディング・テーマ「御用だ!」にて更なるこども警察の躍進を“聴き”届けろ!
澁谷浩次(yumbo)コメント
ついに井口監督が「女が男を追う映画」を撮ってしまったのか?と心配になったが、最後まで観ると、女が追いかけていたのは何かもっととんでもなくスケールのでかいものだったことに気付かされる。なんという越境!
中島京子(小説家)コメント
空色の美しさがとても印象に残りました。それは、左手の色だったのではないかと、見終わった後、あたたかい気持ちで思いました。
野中モモ(翻訳者 / ライター)コメント
ワーッ!と弾けてあまりに楽しそうな、しかし決して「可愛く」はない、むしろ恐ろしい子供たち。
非日常セッティングでばっちりかますマダムロス。
好きなタイプの冒険です。
早川千絵(映画監督)コメント
待ち焦がれていた井口奈己監督の新作。
映像と音のリズムがひたすら心地よく、不意に現れたユートピアはなんとも不思議で美しかった。
深田晃司(映画監督)コメント
ロードムービーに大仰な距離はいらない、いくつかの写真と景色と素敵な横移動があればそれでいい、と高らかに教えてくれる。
そして、映画史への数々の引用符を吹き飛ばすような破壊と包摂のラストに唖然とした。
藤野千夜(小説家)コメント
ずっと待っていた井口奈己監督の新作は、なんてキュート! 見れば見るほど楽しくなる。御用だ!御用だ!と走るこども警察を、のどかな世田谷線の車窓から見守りたい。
細馬宏通(行動学者)コメント
覚悟の春。スクリーンに来た子供たちが走り去る。線路が誘う。隣人を運命の人として愛する者の前にだけ現れる、思いがけない左手の世界。マダムロスの叫びを目撃せよ!
山本浩貴(小説家 / デザイナー / いぬのせなか座主宰)コメント
陰鬱な顔! それでも笑っちゃう場所へ、大人が探すでなく子どもが連れ去ってくれる。でかくてわちゃわちゃした声にまきこまれ、コロナ禍のあの(冗談みたいな)生真面目さからもようやっと解放された気分だ。
横浜聡子(映画監督)コメント
スクリーンを躍動するこどもたちを楽しんでいたはずなのに、
いつの間にか彼らがどこかうすら怖い存在に見えてくる不思議さ。
こどもと映画の親和性の高さをよく知る井口監督だからこそ撮れる映画。
蓮實重彦(映画評論家)コメント
「だれかが歌ってる」を観て
たったいま、「だれかが歌ってる」拝見しました。開始一分から涙が流れ、終わりには滂沱のありさま。これは、晩期高齢者のいま、ひたすら涙もろくなっていることだけでは説明のつかないショットの力だと確信しています。
細馬宏通 @kaerusan
井口奈己監督「左手に気をつけろ」。すばらしき傑作なのでいろんな人と語り合いたい。併映の「だれかが歌ってる」がまた凄まじい。きいたことのない声に近づく新しい方法。コメントを寄せました。6月の公開が待ち遠しい。https://t.co/VLug2OE6zX