2020年6月に新聞に掲載された、ある少女の壮絶な人生をつづった記事から着想を得て制作された本作。機能不全の家庭に生まれドラッグに溺れた少女は、さまざまな人々に出会い、更生の道を歩み出していく。しかし、かすかな希望をつかみかけた矢先、どうしようもない現実に襲われる。
稲垣が演じたのは、私情と正義の狭間で揺れ動くジャーナリスト・桐野。薬物更生者の自助グループ「サルベージ赤羽」の活動を取材し、杏には老人ホームでの介護の仕事を紹介する存在だ。場面写真には、多々羅と桐野が最低限の荷物を持って家を飛び出した杏を迎える様子や、桐野がある衝撃的な事実に呆然とし腰を抜かす場面、ジャーナリストとしての仕事ぶりが垣間見れる編集部での姿が切り取られている。また喫茶店や取調室の場面のメイキング写真も到着した。
河合が「桐野は影の主人公」と表現するように、本作は杏の人生を描く一方で、実際の事件を取材した新聞記者をベースにした桐野の目線でも物語を追うことができる。稲垣は自身の役柄について「ジャーナリストとしての正義感と、2人との友情と、一会社員としての下心。いろんなところで揺れ動く役なので、それがうまく伝わっていればいいなと迷いながらやりました。答えが1つではない映画ですが、今の社会にとって必要な映画だと僕は思います」と語る。
劇中では桐野が自分の心情を吐露するようなセリフは一切ないため、稲垣は役作りに苦労したそう。入江は「桐野という人物が抱える独特の居心地の悪さ、どっちつかずの葛藤みたいなものを、稲垣さんが絶妙に体現してくれました。シーンによっては無表情で、何を考えているのか見えにくいこともある。でもトータルの芝居にはなんとも言えない揺れが滲むんです。見事だと思いました」と稲垣をたたえた。
「あんのこと」は6月7日より東京・新宿武蔵野館、丸の内TOEI、池袋シネマ・ロサほか全国で公開。
映画「あんのこと」予告編
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稲垣吾郎「あんのこと」私情と正義感に揺れるジャーナリストを体現、入江悠が絶賛(コメントあり / 写真28枚)
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