批評家大賞に塚本晋也、荻上直子、東出昌大、筒井真理子、磯村勇斗、新垣結衣らずらり

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第33回日本映画批評家大賞の授賞式が本日522日に東京・東京国際フォーラムで行われ、作品賞、監督賞、俳優賞など各賞の受賞者が出席した。

第33回日本映画批評家大賞授賞式の様子。

第33回日本映画批評家大賞授賞式の様子。

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現役の映画批評家が映画のプロフェッショナルとして、2023年公開作の中から選考した同賞。本年度は17賞19組に授与された。今年の選考委員には代表の島敏光をはじめ、伊藤さとり、新谷里映、中村梢、松崎健夫、安田佑子が名を連ねた。

作品賞・監督賞

塚本晋也

塚本晋也[拡大]

作品賞は、終戦直後の闇市を舞台に、絶望と闇を抱えたまま混沌の中で生きる人々の姿を描いた趣里の主演作「ほかげ」。授賞式には監督の塚本晋也が登壇し、トロフィーを受け取った。そして監督賞は「波紋」を手がけた荻上直子に。同作では、水を信仰する新興宗教に傾倒した女性とその家族を通して、“現代社会が抱える闇や不安”が描出された。

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主演賞

左から東出昌大、新垣結衣。

左から東出昌大、新垣結衣。[拡大]

主演男優賞には「Winny」で実在するソフト開発者・金子勇に扮した東出昌大。主演女優賞の筒井真理子は、新興宗教に傾倒しながらも穏やかに暮らす女性を演じた「波紋」が評価されての受賞となった。

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助演賞

左から磯村勇斗、筒井真理子。

左から磯村勇斗、筒井真理子。[拡大]

助演男優賞は「」で重度障害者施設の職員を演じた磯村勇斗。彼は同作で第47回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞、第48回報知映画賞の助演男優賞なども獲得している。助演女優賞には「正欲」にて特殊性癖を隠して生きる女性に扮した新垣結衣が輝いた。

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ドキュメンタリー賞、アニメーション作品賞

ドキュメンタリー賞の中原想吉(中央)と、「ライフ・イズ・クライミング!」の出演者・小林幸一郎(左)、鈴木直也(右)。

ドキュメンタリー賞の中原想吉(中央)と、「ライフ・イズ・クライミング!」の出演者・小林幸一郎(左)、鈴木直也(右)。[拡大]

アニメーション作品賞を受賞した八鍬新之介。

アニメーション作品賞を受賞した八鍬新之介。[拡大]

ドキュメンタリー賞は中原想吉の監督作「ライフ・イズ・クライミング!」、アニメーション作品賞は八鍬新之介による「窓ぎわのトットちゃん」へ。中原は、キャストの小林幸一郎から撮影の相談を受けた日を振り返って「直感で『映画にしましょう』と提案して走り続けたら、こんなに素敵な賞をいただけました」と感慨深げにコメントする。第1回日本映画批評家大賞の作品賞受賞作「息子」が好きだという八鍬は「名作と同じ賞の歴史に立てることを誇りに思っています。クリエイターとして励みになりますし、スタッフも大変喜んでおりました」と口にしたあと、「10年、20年先も観ていただけたらうれしい。特に若い世代にこの映画が届くといいな」と願う。

新人監督賞

新人監督賞を受賞した金子由里奈(手前)と工藤将亮(奥)。

新人監督賞を受賞した金子由里奈(手前)と工藤将亮(奥)。[拡大]

新人監督賞を受賞した工藤将亮。

新人監督賞を受賞した工藤将亮。[拡大]

新人監督賞には「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」の金子由里奈、「遠いところ」の工藤将亮が選出された。金子は「映画に関わってくださった皆様、この映画を大きくしてくださった観客の皆様、映画に登場してくれたたくさんのぬいぐるみたち、原作者の大前粟生さんに改めて感謝したいです」と、工藤は「協力してくださった沖縄の皆さんや当事者のみんな、プロデューサーやスタッフ、キャストのおかげで獲ることができました。これからも映画作りに邁進してがんばっていきます」と携わった人々への思いを述べる。

新人俳優賞

黒崎煌代からのビデオメッセージを見つめるアフロ(右)。

黒崎煌代からのビデオメッセージを見つめるアフロ(右)。[拡大]

新人男優賞(南俊子賞)を受賞したアフロ。

新人男優賞(南俊子賞)を受賞したアフロ。[拡大]

新人男優賞(南俊子賞)は「さよなら ほやマン」で映画初主演を飾ったアフロMOROHA)と、弟役の黒崎煌代がそろって受賞した。仕事の都合で出席が叶わなかった黒崎は「アフロさんとW受賞できて本当にうれしい。少年時代から映画に憧れてきたので、映画界に少しでも受け入れてもらえたのかなと思うと胸がいっぱいです」とビデオメッセージ内で語る。その映像を温かなまなざしで見つめていたアフロは「黒崎がここにいないことがさみしくもあり、うれしくもあります。彼は今、現場で役者の仕事をしている。それはすごくかっこいいことだと思います」と顔をほころばせたあと、「5月末からまた上映があるので、ぜひ自分たちの情熱に触れていただけたら」と映画をアピールした。
新人女優賞(小森和子賞)を受賞した花瀬琴音。

新人女優賞(小森和子賞)を受賞した花瀬琴音。[拡大]



新人女優賞(小森和子賞)の花瀬琴音は、沖縄・コザが舞台の「遠いところ」にて、幼い息子と夫と3人で暮らす17歳のアオイを演じた。花瀬は「沖縄にいる若いお母さんや少女たちに取材を重ねて作りました。彼女たちの思いを背負って、映画を完成させることができて本当によかった」と充実感たっぷりの様子で話した。

脚本賞

脚本賞を受賞した上田誠。

脚本賞を受賞した上田誠。[拡大]


脚本賞は「リバー、流れないでよ」の上田誠(ヨーロッパ企画)。同作では、京の奥座敷と呼ばれる貴船を舞台に、2分間のループから抜け出せなくなってしまった人々の混乱が描かれた。上田は「この作品は変わった構造のタイムループもの。“新しい構造を生み出す”と信じて脚本を書いていました。そのような試みに乗っかってくれた皆さんと喜びを分かち合いたい」と晴れやかな表情を見せる。なおループを2分間にした理由の1つには「2分が好きすぎる」があるそう。

ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞)、ダイヤモンド大賞(淀川長治賞)

左から小林薫、木野花。

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映画「バカ塗りの娘」から、木野花がゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞)、小林薫がダイヤモンド大賞(淀川長治賞)に選ばれた。木野は「お話をいただいたときは、私でいいのかしら?とびっくりしました」と打ち明け、「すごくいい作品に出会えたなあと思っています」と胸を張る。小林はしみじみとトロフィーを見つめ、「歴代には、大好きで尊敬する役者さんたちのお名前が並んでいる。大変光栄に思っています」と受賞を喜んだ。

そのほか編集賞(浦岡敬一賞)は「#マンホール」の今井大介、撮影賞は「スイート・マイホーム」の芦澤明子、松永文庫賞(特別賞)は広島の映画館・八丁座に与えられた。

※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記

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読者の反応

上田誠(ヨーロッパ企画/脚本家) @uedamakoto_ek

第33回日本映画批評家大賞で、脚本賞いただきました。おめでとうございます!
https://t.co/PNWgK18OZE

トリウッドさんとヨーロッパ企画で作った、未踏のループ映画です。クラウドファウンディングやムビチケや、法外なお力添えをいただきリバーは流れだしました。果報者です。

#リバー流れないでよ

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