映画「
本作は滋賀の琵琶湖近くの介護施設で100歳の老人が殺される事件が発生してから始まるヒューマンミステリー。その謎を追う刑事・濱中圭介と容疑者の介護士・豊田佳代が抗えない関係に溺れ、内なる欲望に目覚めていくさまが描かれる。福士が圭介、松本が佳代を演じたほか、浅野忠信、福地桃子、財前直見、三田佳子がキャストに名を連ねている。
映画化の最初のきっかけは、大森が
最初に映画化を躊躇した理由については、「戦争から続いている僕たちの歴史の負の部分が書かれている。忘れがちなんですけど、戦争から地続きで僕たちが今ここにいることを、もう1回思い出させられる。そして圭介と佳代が、その負の部分をどうにか希望というか『もう一度生きよう』と思える何かに変えていく話。歴史的な何かを背負って映画を作ることがなかったので怖いと思った部分もあります」と語った。
倫理的に危うい、ゆがんだ関係に陥っていく圭介と佳代。「役を引き受けるのは大きな決断だったのでは?」と問われた福士は「そう思われるんですが、意外と二つ返事で『やりたい!』と(笑)。セクシャルでハードでディープなシーンもありますが、演じるのはあくまで人だから、そこに難しさはないと思っていました」と伝える。一方の松本は「2人の関係を頭で理解するのは難しい……だから頭で理解するのはやめました」と話し、撮影中は孤独感、焦燥感を抱えた佳代が置かれている環境に自分も身を置くことで役作りに努めたことを明かした。
2人のインモラルな関係を作りあげるため、福士と松本は1カ月間に及ぶ撮影で最初の挨拶と本番のセリフを除いて一切会話をしなかったそう。福士は「僕は笑顔を向けずにいました。そうすることによって、圭介と佳代に似た関係性を作れるんじゃないかと思って」と回想。もともと福士に「さわやかな好青年」というイメージを持っていたという松本だが、「初日からびっくりするぐらい恐ろしくて。怖かったし、変な色気もある。この圭介がいれば、私は感じるだけでいい。ほかは知りたくないし、この人の笑顔を見たくない。プライベートの会話も聞きたくないと思って、私からも距離を取ってました」と特殊な関係を振り返る。
福士は本来、撮影現場でもにこやかに話しかけるタイプだそうで「どう思われてたのかな」とつぶやくと、松本は「正直、嫌いでした」と冗談交じりに即答。「私、福士さんと合わないなあと(笑)。嫌いがいくとこまでいって求めてしまうみたいな状態。撮影が終わってそのままお別れして、1年半も会うことなく……この前、取材で初めて役が抜けた状態でお会いして。それまで本当にどんな人かわからなかった」と本音を明かした。
福士が「で、本当の僕はどうでした?」と笑顔を向けると、松本は「どっちが本当かわからない。今が仮の姿かもしれないです。でも役が抜けた福士蒼汰さんはめちゃくちゃ好感度高い。『いいじゃん! 福士蒼汰!』って(笑)。やわらかくて会話がしやすい。こんな人だと思わなかった。でも私の中では『湖の女たち』の圭介も本当の福士蒼汰だと思ってます。だって、あんなの出せないですもん。恐ろしいですよ」と答え、福士は「なるほどね(笑)。じゃあ両面あると思ってください」とほほえんだ。
続いて松本が「でも私がいないときはけっこう笑顔だったと聞いて。私がいないときは楽しい撮影だったんですよね? その真相を知りたい」と尋ねると、大森は「そんなことはない」と笑いつつ、自身と福士は撮影期間中に食事に行く機会があったことを打ち明ける。この事実に、松本は「え、本当に言ってます? ちょっと待って」と衝撃を受け、「私は1回も行ってない。1人で築70年ぐらいの旅館でもんもんと絶望していたのに……!」と納得がいかない様子で会場の笑いを誘った。
最後に、福士は本作を紐解くうえで「堆積」というキーワードを挙げ、「湖は川や海と違って流れていかない。どんどん堆積していく。歴史が堆積して現代がある。人はそれで作られていくし、一方で押し潰されていく。僕が演じた圭介は上司から潰されそうになっているし、その上司はさらに上から潰されそうになっている。そういう歴史から逃げられなくて、抗いたくて。でも、その堆積は止まらない。そんなことを僕は感じていました。皆さんもそれぞれが思ったことを映画を観て話し合ってもらえたら」と呼びかけ、会見を締めくくった。
「湖の女たち」は5月17日より全国ロードショー。
映画「湖の女たち」予告編
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