映画「
本作は2011年にインターネットの匿名掲示板で話題となった、ある新婚家族の出来事をモチーフにしたホーム・パラサイト・ホラー。10代の女の子と継母の関係を軸に、謎の少女“ちーちゃん”と一家の壮絶な争いが描かれる。佐津川が夫と娘と3人で中古の一軒家に越してきた萩乃、伊礼姫奈が一家に悪夢と破滅をもたらすちーちゃんを演じた。
「惡の華」「血の轍」で知られる押見は、映画の前日譚としてちーちゃんを描いたマンガをヤングマガジンで発表している。もともと知り合いだった内藤から直接オファーを受け「私自身、監督のファンだったので、すごくうれしくて」と即決で快諾したそう。具体的なキャラクターの造形については「監督からイメージの下敷きをいただいて、それをもとに膨らませた感じです。内藤監督がアシンメトリーがいいとおっしゃっていたので、ちーちゃんの髪の毛は半分長くて半分短いとか、服も片方をちぎれているようにしました」と制作過程を明かす。
押見の発言を受け、内藤は「当初の台本では“ボロボロの服”とかざっくりしたことしか書いてなかったんですけど、押見さんと喫茶店でお会いしたときにイメージを話したら、その場でササっと描いてくださって。それがもうほぼほぼ今の完成に近い形で描かれていて感動しました」と述懐。さらに「押見先生は台本を深いレベルで理解してくれたし、例えばちーちゃんの衣装に『虫のブローチをつけたら面白い』という提案も出してくれました。それを逆に脚本に反映して、虫の死骸を集めてる場面を入れたり、美術でそういうものを作ったり。キャッチボールをしながらキャラクターをより豊かにしていただけたと思います」と、押見に対する信頼を明かした。
ちーちゃんのデザインについて、佐津川も「私に届いた映画の企画書には、ちーちゃんのデザインがすでに描かれていたんですよ。企画書に描いてあることなんて、なかなかないから驚いたことをよく覚えています。役作りをするときに実際のちーちゃんをイメージできたので、とてもありがたかったです」と語った。
2007年の映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で初めて佐津川を認識したという内藤。「そのときからすごく印象的な方だと思っていました。自分が映画を撮るようになって、いろんな現場で『俳優としてもいいし、人としてもすごくいい方だよ』とはよく聞いていて、ぜひいつか仕事はしたいと思っていました」と述べながら、萩乃役をオファーした理由について「母親の役割を押し付けられて苦しんでいるという役柄。お母さん役のイメージがあまりない佐津川さんなら素晴らしい形で演じてくれるんじゃないかなと思いました」と話した。
最後に、佐津川は「ハッピーな気持ちだけではない、複雑な思いを持ち帰れる作品になっていると思います」とアピール。押見は「えたいがしれない子ではあるかもしれませんが、怒りもはらんだキャラクターだと思っております」とちーちゃんに言及し「この映画は何かに対する怒りをはらんだ作品なんです。これから映画を観る方には、その怒りが何に対するものなのかを感じていただけたら」と述べる。また内藤は「オリジナルの脚本なんですけど、今はオリジナルの企画を成立させるのがすごく難しい。ホラー映画ですが、とても広がりのある作品ですので、それが届けばいいなと思っています」と呼びかけ、トークを締めくくった。
「毒娘」は4月5日より東京・新宿バルト9ほか全国で公開。
※「毒娘」はR15+指定作品
ホラー映画「毒娘」本予告
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「毒娘」押見修造と内藤瑛亮が語る、えたいが知れない少女ちーちゃんの造形秘話 https://t.co/HLoErqnJUK