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前作に続いて若松を演じた井浦は「僕を俳優として育ててくれた大切な恩師です。その人を演じるという最大のギャグを、これから皆さんに楽しんでいただきたい」と挨拶。白石からは「まさかの続編です」と振られ、井浦は「まず白石監督はどう思ってるんだろう?と思いました。今日ここにいてくれてホッとしてます。これで白石さんと井上さんの仲が悪くなったら?とも思ったので(笑)」と話す。
最初は井上から「若松監督の役、1日仕事でも、電話の向こうの声でもいいから」といったオファーがあったそうで「それにすごく腹が立って(笑)。若松監督を演じるのはそんなに安くない。やるならとことんやらせてください、と。それを本気に取ってこの作品ができてしまった」と吐露。「1作目のときは本当に葛藤しながらオファーを受けて。数カ月間音信不通になったり。ただじゃできないテンション。今回はまた演じる中で若松監督に会えるんじゃないかという喜びがあった。だからこそスムーズに撮影にも向かっていけました」と前作との違いを明かした。
シネマスコーレ支配人の木全純治を演じた東出は、最初はオファーに迷いもあったそうで「2やるの?と。僕は1のファンだったんです。俳優部、オールスタッフの情熱を感じて。その迫力と熱量がすごい」と述懐。「台本を読んだうえで葛藤がありました。二番煎じと言われたら絶対ヤダ。でも1の魅力を踏襲した同じ方向性ではないと直感的に思ったので、新しい魅力のものになるんでしょうか?と、井上さんに直接お伺いを立てました」「2は2で別の映画人たちの愛情が込もったものとして結実した」と明かす。
井上は台本を読んだ東出から「あの1の熱量に抗するためにはどうしたらいいか。想像の羽根を大きく広げて、これからこの台本と向き合いたいと思います」といった内容のメールを受け取ったそうで「これを読んで『あ、面白くないと言われた』と本気で思って(笑)。そこから目の色が変わりました。だから東出さんにはすごく感謝してます」と素直に語った。
監督である井上本人を前にして、若き日の井上を演じた杉田は「『それ僕じゃないよ』と言われたら何も言い返せない」と最初の不安を述懐。杉田が出演し、井上が製作・脚本に参加した「福田村事件」の撮影を通して信頼を深め合ったそうで「現場に入るときは余計な緊張はせず、井上監督は僕に任せてくれたし、僕は僕なりのことをして監督に託す思いでした」と振り返る。
4人の中で唯一架空の人物で、映画監督を志す在日朝鮮人の劇場アルバイト・金本法子に扮した芋生は「その当時、女性監督はなかなかいない。在日の方が差別を受ける背景もある。金本が葛藤を抱えて生きていて、井上少年とバチバチやり合っていく。ずっと井上少年を目の敵のように見てました」と撮影を回想。井上は、金本を描いた理由について「つい最近まで僕は男という大きな下駄を履いて生きていることに気付かなった。今この時点で80年代半ばを描くとき、当時、息苦しさを感じていた人の目線で僕たち男の存在が相対化できないかと思った」と明かした。
撮影現場の雰囲気は井上の人柄がにじみ出たような和やかなものだったという。井浦は「井上さんが一番楽しそう。今回は技術スタッフに井上監督の盟友たちが集まっていて、本番中に声出して笑ってしまったり」、東出も「井上監督はめちゃくちゃ映画少年。嬉々として楽しんでいた」と回想。本番では若松が井上少年の名前を呼ぶ場面で、井上本人が「はい!」と声を出してしまう瞬間もあったそうで、井上は「スタッフが笑っていたのでなんでだろう?と思ってたら、僕が返事してたんです」と笑い混じりに振り返った。
最後に井浦は「時代も違うし、同じキャストも僕が演じる若松監督ぐらい。物語として全然違うもの。この『青春ジャック』から観ても安心して楽しめるはず。でも観終わったときに、皆さんの心に何か火種が灯っていたらうれしい」と呼びかける。また東出は「僕は映画に取り憑かれた人が映画人だと思います。井上監督は今、自分の人生の1本を作った。これが映画人としての信念と愛ですし、しかも爽快な娯楽映画になったと思います」と述べ、イベントを締めくくった。
「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」は3月15日より東京・テアトル新宿、アップリンク吉祥寺、愛知・シネマスコーレ、大阪・シネリーブル梅田ほか全国で順次ロードショー。
大木晴子・「明日も晴れ」 @kuronekoroku
試写を観終わって「公開されたら映画館の大きなスクリーンでみてまたクスッと笑うわ」と想った。
井浦新「青春ジャック」は大切な恩師・若松孝二を演じた“最大のギャグ” https://t.co/F3VD6Y0MZf