劇場版「
テレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED」シリーズの続編として、C.E.(コズミック・イラ)75を舞台に、独立運動やブルーコスモスの侵攻を鎮めるために創設された世界平和監視機構コンパスの一員として各地の戦闘に介入するキラ・ヤマトたちの姿を描いた物語。彼らは新興国・ファウンデーション王国からブルーコスモスの本拠地への共同作戦を提案される。
この日の舞台挨拶にはおよそ1万2000件の応募から抽選で選ばれた観客が参加。さらに、この模様は全国の映画館に生中継された。1月26日の封切りから2日間の成績は、動員50万人、興行収入7億7000万円という好調なスタートを切っている。海外での公開は56の国と地域で決定した。
映画はテレビアニメ「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」が終了した2005年から長い年月を経て完成。引き続き監督を務めている福田は「18年間、お待たせして申し訳ありませんでした。僕がずっとお付き合いしてきたキャラクターたち。彼らをどうしたらいいか、彼らの未来がどうなっていくのか。いろいろ考えさせられた」と制作を振り返りながら、「劇場に来てくれた皆さんの喜んだ顔をなるべく観たくて。映画のよさってまさにそこにある。それを第一に考えて作業をしてきました。言うと怒られるかもしれないですけど、売上とかはどうでもいいんです。みんなの笑顔が大事なんです。本当に楽しんでください」と呼びかけた。
キラ・ヤマト役の保志は「キラを演じているがゆえにキラに感情移入して。キラ視点で物語を知っているわけです。僕の感想は……(ネタバレになるので)言えないんですけど」と吐露。公開前は観客の反応が「すごく不安だった」と述べつつも、「SNSの反応を見る限り、好評を得られているという実感があります。感極まっております」と続けた。福田も周囲の反響を聞かれ、「『SEED』が好きな若いスタッフが多いんです。彼らのがんばりがあって、このフィルムがあるのは間違いない。でも『面白い』『つまらない』はあまり言われないですよね。でもそれぐらい言う根性があってもいいかなと思ったり(笑)。でも、みんな悪い感じはしてない」と答える。
福田から「キラとラクスをメインとした愛がテーマ」と内容が明かされると、ラクス・クライン役の田中は「いろんな意味での愛や絆を感じる。守るべきものは何か?だったり。愛と必要性。そういうものがあります」と話し、アスラン・ザラ役の石田も「愛がテーマなのは間違いない。同時に戦争を描いているので、それぞれの立場の思惑がぶつかっている。それを終息させるために、いろんな決断をしないといけない。愛というハッピーな瞬間だけではなく、決断を迫られた一番辛い部分も描いてます」と続けた。
さらに石田が「これは言っちゃいますが、かつての(アスランの)盟友であるイザーク(・ジュール)とディアッカ(・エルスマン)が登場するんです。彼らがどういう思いで任務についているのか。そこは見どころになると思います」と明かすと、突然、福田が「それで君は何に乗るの?」と質問。これに石田が「わざとネタバレをさせようとしていますか?」と驚き、福田は「それは君の良心に従って」と突き放す。石田は「良心に従うなら言えませんよ! 言えるわけがないじゃないですか!」と声を張り上げ、会場の笑いを誘った。
主題歌「FREEDOM」を歌った西川は、佐橋俊彦による劇伴の魅力を「映像を観ているけど、組曲を一斉に浴びているような素晴らしさがある。1つの生き物のように、耳、目、肌感、振動で味わっていただきたい」とアピール。グリフィン・アルバレスト役の森崎は、アフレコのときになかった劇中の効果音に驚いたそうで「このメカ、こんな音で動くのか?というのがけっこうツボだったりする。音というものを全体的に感じていただけたらと思います」と語った。
シリーズ初参加となったイングリット・トラドール役の上坂は、内容については「存在がネタバレみたいな感じなので、詳しいことは本編で」と多くを語らず。自分が初めて鑑賞した際、試写のあとに新年会が入っていたそうで「まったく酔っ払わなかった。それぐらい魂を持っていかれる。本当に覚悟を決めて、このあとの皆さんも楽しくお家に帰ってください。何を飲んでも頭に入らない、肝臓にも(アルコールが)効かないぐらい。心がFREEDOMになっちゃいます」と独特の表現で注意を促した。
最後に保志が「18年間待ちに待った劇場版。この映画に参加して、制作者たちの『ガンダムSEED』愛をめちゃくちゃ感じましたし、皆さんの愛も感じています。18年分の愛が詰まった作品になっているので、ぜひ堪能してください。これから先も『機動戦士ガンダムSEED』の世界に思いを馳せていただけたらうれしいです」と呼びかけ、イベントを締めくくった。
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」は全国で公開中。なお舞台挨拶では、出席の叶わなかったシン・アスカ役の
鈴村健一からの手紙 書き起こし全文
劇場にお越しの皆様へ
こんにちは。シン・アスカ役の鈴村健一です。本日は劇場にお越しいただき誠にありがとうございます! 出演者の方々がたくさんいる中、お時間をいただきまして感謝しております。少しだけ語らせてください(笑)。
僕がシン・アスカという役に出会ったのは、29歳というかなり遅めの青春真っ只中でした。あの日々を思い出すと、若さゆえの試行錯誤と成長への渇望が交錯していたことを思い出します。シン・アスカと同じく、僕自身もまたもがきながら、なんとかして歩みを前に進めていた、そんな日々でした。
シン・アスカというキャラクターは戦争によって多くを失い、心に傷を負った少年です。周りに当たり散らす、激情を持った少年。時にわがままに見えたり、人の話を聞かない、その姿にイラつきを覚えた方もいたかもしれません。しかし、今思えばとても等身大な少年の当たり前の心の動きだったように思います。彼の本来の人間性、素直さや明るさを僕が表現できていたら、シンをもっと魅力的な少年にしてあげられたかもしれません。もちろん、あの頃の自分にできることは精一杯やっていたつもりですし、あの頃にしか出せない空気感もあったと思います。ですが、作品の収録が終わったあとも、今ならまた違う視点やアプローチで彼を演じることができるかもしれないと、ふと頭によぎる瞬間も何度かありました。
そして時を経て、また、シン・アスカと向き合うときが来ました。今回の劇場版では監督たちの導きにより、あの戦いの別の場所できっと見せてくれていた素直なシン・アスカと出会えたと思っています。こんなに素直でかわいい子だったんだと、改めて僕も惚れ直しました(笑)。そんなシン・アスカの姿をぜひ皆様の目で確かめていただければ幸いです。
今回の劇場版は、あの頃の『SEED』の空気感を感じさせてくれます。あの時代を経験した人たちは、もしかしたら、あのときとダイレクトに時間がつながった感覚すらあるのかもしれない。そんな心地よさがあると思っています。きっと期待に応えてくれます。胸を躍らせて、その瞬間をお待ちください。皆様の貴重な時間をいただき本当にありがとうございました。引き続き舞台挨拶と上映を心ゆくまでお楽しみください。皆様にとって忘れがたい瞬間となりますように。心を込めて。
シン・アスカ役 鈴村健一
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