映画「
「性暴力と心の傷」をテーマとした本作は、三島が47年間向き合い続ける“ある事件”をベースにしたオリジナル企画。北海道・洞爺湖の中島、東京・伊豆諸島の八丈島、大阪の堂島を舞台に、ストーリーの重要な存在として登場するれいこをめぐる心の葛藤が描かれる。愛する恋人とどうしてもセックスができないれいこを前田が演じ、トランスジェンダーのマキにカルーセル、娘が妊娠して帰省し戸惑う父親・誠に哀川、レンタル彼氏のトト・モレッティに坂東が扮した。
三島は自主映画から本作の制作をスタートさせたことを振り返り「この映画はたった2人で『映画作ろう!』と決意して始めた企画。そこから前田さんはじめ多くのキャスト・スタッフが賛同してくれた。最初はお金もなく配給会社も決まってない中で、このメンバーだから一緒に作り上げられた」と感慨深そうに語る。
前田は複雑な役どころを演じることについて「こんなに真剣に悩んだのは初めて」と回想。「1カ月ぐらい悩みました。ただ、きっとできないと思ったらすぐお返事していると思うんですよ。だから悩むこと自体がきっと自分の中の“可能性を探る”作業だったのかもしれない。監督が心の広い方で、ずっと待っててくださったので胸に飛び込みました」と丁寧に言葉を紡ぐ。三島は「1カ月悩んでくださったのが逆に誠実」「『やります』って言ってくれて、台本を抱きしめました」と振り返った。
カルーセルはこれが10年ぶりの映画出演。2023年の1月に洞爺湖で撮影を行ったことに触れ、「マイナス20度で、千歳空港からホテルまで3時間半。大雪でスタッフも迎えに来れないのでタクシー移動」と当時の状況を明かす。翌日は朝4時から撮影に臨んだそうだが「吹雪でなんにも撮れなかったのよ(笑)」と過酷な状況を説明。そして「衣装さんやメイクさんがいつの間にかカイロを入れてくれて。本当に感謝してます」と語る。北海道出身の坂東は「地元が洞爺湖なので!」と喜ぶが、カルーセルに「地獄でしたよ。殺されるかと思ったわ!」とズバリ切り捨てられ、会場は爆笑の渦に。三島は「でも本番では震えが止まるんですよ。当たり前ですが、やっぱり大女優で。特に雪原を歩くシーンは感動しました」とたたえた。
八丈島で撮影に臨んだ哀川は「普段もよく行く場所で。監督の頭の中に撮りたい画があるのがわかっていたので、とてもやりやすかったですよ」と述懐。坂東とは干支と誕生日が同じであることを明かし「以前共演したときはその話にならなかったので、今日聞いてびっくりしたよね」と笑顔を見せる。「(哀川は)怖いんじゃないの?」と横から口を挟むカルーセルに対して坂東は「全然! めちゃくちゃ優しいですよ!」と力強く返答していた。
前田は長回しで大阪を歩いたシーンを挙げ「監督と手をつないで1時間歩いて2人で話し、撮影に臨みました。でもそのことを覚えていなくて。ずっと監督とともに作っている感覚がありました」と心境を吐露。坂東は前田の演技について「言葉に表せない」とコメントしつつ、「前田さんの肉声に素直に反応するよう意識して演じました。監督と前田さんが話している空気感とか、そのあと撮影に臨む熱量とか、とにかくすごかった」と熱弁する。その様子を見ていたカルーセルは「うらやましいわ。(監督は)あっちゃんとは話すのに、私とは全然話してくれなかったわ!」とボヤき、再び観客を笑わせた。
「一月の声に歓びを刻め」は2月9日にテアトル新宿ほか全国で公開される。
もんでんあきこ @mondenakiko
試写拝見しました!美しく切なく映画の素晴らしさが詰まってました!【完成披露上映会レポート】前田敦子と三島有紀子の親密さに、カルーセル麻紀ボヤく「私とは話してくれなかったわ!」(写真24枚) https://t.co/qOBtmypxXM