本作は、マカオ出身の主人公エヴァが映画監督であるジェイの過去と秘密を探るラブサスペンス。カーワイが手がけたバルカン半島三部作「どこでもない、ここしかない」「いつか、どこかで」がジェイの監督作品として劇中で登場し、現実と虚構を行き来しながら物語が進んでいく。
「星くずの片隅で」の
「すべて、至るところにある」は1月27日より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。なお封切りから2月8日までは同劇場で連日開催されるトークイベントにカーワイが登壇。アデラ・ソーらゲストを招く上映回も。加えて2月17日は尚玄がイベントに登壇する。
柴崎友香(作家)コメント
行ったことのない場所も今は行くことのできない場所も、ずっとそこにあるし、そこで生きている人の生活があって、だから私たちはいつか、もしかしたら今、そこへ行くことができる、その場所をこの映画は映している。
金平茂紀(ジャーナリスト)コメント
この映画の本当の主人公は、スポメニックと呼ばれる旧ユーゴスラビア時代の巨大戦勝モニュメント群、あるいはそれを取り囲むまわりの「風景」にあるだろう。
リム・カーワイはこの映画で戦争、そしてパンデミックによって瀕死の状態に陥った記憶を描きだしている。
この映画の自由奔放さは映画の希望である。
アンジェラ・ユン(俳優)コメント
主人公ふたりのミステリアスな関係に心惹かれた。そして虚無感に満ちた広大で美しい風景に引き込まれた。
岡本多緒(俳優)コメント
訪れたことのないバルカン半島、なのに映画を見進めて行くにつれて、不思議と懐かしくなる。
三宅唱(映画監督)コメント
映画に抗い、それでも映画にすべてを賭けること。世界を疑い、それでも世界を信じること。主人公ジェイの「一緒に映画を作ろう」という合図で、出会った全員を巻き込んでいくサスペンスの幕が上がる。まるでドン・キホーテの無謀さを思わせもするこの旅の、予想のつかないシーンの連鎖、ショットの連鎖にわたしたち観客も巻き込まれていくうち、劇場にいながらにして、ここではないどこかに至る。そしてなんだか「ありがとう」という気持ちになるのが、リム・カーワイの魔法にかけられたようで爽快。ともかく、ジェイを演じる尚玄の類稀な紳士感によって絶妙に可笑しく絶妙に切ないコメディのようにもみえるのが最高で、それだけで、もう一度この旅をまだまだずっと追いかけたくなる。
樋口泰人(boid 主宰 / 映画批評家)コメント
映画とはそれぞれが「スポメニック」であるとも言える。映画作りとは至るところに「スポメニック」を建造する試みである。
スポメニックは至るところにある。
そしてわれわれは映画がある限りそこから聞こえてくる姿なき人々の小さな声を聞き続け、それらに導かれながら自身の人生を歩むことになるだろう。
われわれは何と戦うのか何から解放されるのか、映画からは常にそんな問いかけが聞こえてくるだろう。
相田冬二(映画批評家)コメント
別れのための構築。再会のための破壊。そして、モニュメントすべては、至るところにある。
「すべて、至るところにある」トークイベント
2024年1月27日(土)~2月8日(木)、17日(土)東京都 シアター・イメージフォーラム
<登壇者(予定)>
1月27日(土)13:30回 登壇:リム・カーワイ、アデラ・ソー
1月28日(日)13:30回 登壇:リム・カーワイ、
1月29日(月)13:30回 登壇:リム・カーワイ、アデラ・ソー / 18:30回 登壇:リム・カーワイ、
1月30日(火)13:30回 登壇:リム・カーワイ
1月31日(水)13:30回 登壇:リム・カーワイ
2月1日(木)18:30回 登壇:リム・カーワイ、
2月2日(金)13:30回 登壇:リム・カーワイ
2月3日(土)13:30回 登壇:リム・カーワイ、星野藍(写真家) / 18:30回 登壇:リム・カーワイ、柘植伊佐夫(人物デザイナー)
2月4日(日)13:30回 登壇:リム・カーワイ、
2月5日(月)13:30回 登壇:リム・カーワイ
2月6日(火)13:30回 登壇:リム・カーワイ、
2月7日(水)13:30回 登壇:リム・カーワイ
2月8日(木)13:30回 登壇:リム・カーワイ
2月17日(土)上映時間未定(決定次第、劇場HPで告知) 登壇:尚玄
※すべて本編上映後のイベント
相田 冬二(Bleu et Rose) @aidatoji
リム・カーワイ監督の最新作『すべて、至るところにある』にコメントを寄稿しました。
作品は、来週1.27公開です。 https://t.co/qvBxVvGDKn