映画「
「ひかりの歌」「春原さんのうた」で知られる杉田が手がけた本作は、助けを必要としている見知らない人のことを思い、手を差し伸べて関係を築いていこうとする書店員・春を主人公とする物語。春を小川が演じ、春から声を掛けられる女性・雪子に中村、春が日々様子を確認している男性・剛に眞島が扮した。
参加経緯について小川は「初めて観た杉田作品は『ひかりの歌』だったのですが、当時も今もずっと大切な作品です。それで杉田さんに感想を送らせていただき、お会いしましょうとなってお茶をしたんです。その後月日が経って、今回のお話をいただきました。私は杉田さんの作品に本当に憧れていたので、『(恐縮して)私では難しいです』とお答えしました。でも杉田さんから『何かをしようとしなくても、ただそこにいてくれれば大丈夫です』とおっしゃっていただいて、身を委ねて参加しようと思いました」とうれしそうに語る。
中村は「(今作とは関係なく)もともと杉田さんにご挨拶したいと思っていたのですが、お会いしたときに杉田さんがすごく挙動不審で(笑)。ほどなくして、実は私を想定して書いた脚本があるとお手紙をいただきました。過去作も拝見していましたし、脚本も読んで、この映画の世界に飛び込みたいと思ったんです」と述懐。対する杉田は「この脚本は私が勝手に小川さん、中村さん、眞島さんで当て書きしたものなんです。中村さんがご挨拶をしたいと言っていると聞いたときは、別の中村さんだと勘違いしていて、お会いしたら当て書きしていたご本人だったので、なぜ!?と。脚本のことを言いたかったんですが、事務所を通さないとなどと考えていて、挙動不審になってしまいました」と笑いながら弁明した。
以前も杉田の作品に出演したことがある眞島は「杉田くんとは20代のときから一緒に映画を作ってきた仲間という意識があります。また声を掛けていただいて、ただただうれしかった。杉田くんは若いときから純粋に人物を描く人でしたが、今回の脚本を読ませていただいて、こういうふうに年を重ねたんだなと感慨深くなりました」としみじみ述べる。
撮影でのエピソードを聞かれると、中村は「秘色(ひそく)という色を皆さんご存じですか?」と観客に尋ね、「寒さが心地いい日に似合うような淡い色です。撮影前に雪子について杉田さんとやり取りしていたときに、この色がパッと浮かんで、雪子が好きな色だと思いました。杉田さんに話したら、そうだと思いますと。劇中で春が雪子に花束を渡すんですが、そこに秘色の花が入っていて素敵だなと思ったんです。でも実はこの話を知らない小川さんが、たまたま小道具として選んだものでした」と驚いた様子を見せた。
杉田は「『彼方のうた』は今までの作品とは違い、到達点をイメージしてから作ったものです。到達点となるシーンを撮影しているときは、『この瞬間に立ち会うためにこの映画を作ってきたんだ』と胸がいっぱいになりました。その撮影後、(現状の)冒頭は違うと気付き、脚本にはなかった場面を追加で撮影しました」と深い思いを語る。また、ロケ地に関して眞島が「ちょうど20代で役者を目指し始めていたときに行っていた場所の連続だったので、あの街がこんなにふうになったんだとびっくりしました。分倍河原なんかもそうです」と話すと、杉田は「眞島さんの歴史を聞きながら移動して、不思議な時間でしたよ」と偶然を喜んだ。
「彼方のうた」は全国で順次公開中。
映画「彼方のうた」予告編
小川あんの映画作品
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