「ヘレディタリー/継承」「ミッドサマー」で知られる
前作「ミッドサマー」は北米を除くインターナショナルの興行収入では日本が1位というスマッシュヒットを記録。アスターは同作が日本の観客に愛される理由を聞かれ「日本の観客がベストだから」と笑みをこぼしつつ、「『ボーはおそれている』でもぜひその記録を作ってださい」と呼びかけた。
「ボーはおそれている」は日常のささいなことで不安になる怖がりの男が、怪死したという母親のもとへ駆けつける道中で悪夢のような予想外の出来事に遭遇する物語。「ジョーカー」「ナポレオン」のホアキン・フェニックスが“最狂の帰省”に巻き込まれていく主人公ボーを演じた。
この日のプレミアは約500席のチケットが2分で完売するほどの人気ぶりに。アスターは「ご覧になる前の皆さんにアドバイスをするとしたら」と切り出し、「この映画は形、トーンがコロコロと変わっていきます。もし、あるパートが気に入ったとしても、ごめんなさい、それはすぐに変わってしまうかもしれません。ただ、あなたが嫌いだと思った部分もすぐに変わるので、それはご心配なく」と語りかけた。
2020年の来日時に初めて鑑賞した歌舞伎に感銘を受け、当時執筆の最中だった「ボーはおそれている」の脚本の一部を書き直したというアスター。その縁から舞台挨拶には、梨園を代表する形で
染五郎は「アリ・アスター監督の作品と歌舞伎の共通するところは、グロテスクな表現さえも美しく見せてしまうところ」と述べつつ、MCからアスターにお薦めの歌舞伎を尋ねられ「江戸時代の鶴屋南北の作品にも、そういった特徴があります。代表的なのは『東海道四谷怪談』。有名な怪談ものの1つ。ぜひ何かの機会があったら観ていただきたいです」と伝えた。
ひと足先に「ボーはおそれている」を鑑賞している染五郎は、自身がその芝居に圧倒されたというフェニックスとの共同作業について質問。アスターは「彼は全身全霊で真剣に役と向き合うタイプの俳優。1つのシーンを演じるときも、いろんなことにチャレンジします。私が言ったことに対して、彼なりのやり方で試してみる。監督として自分のやり方を守ろうとするのではなく、彼に好きに演じてもらい映画の新しい可能性を広げていく。その過程はすごく楽しいものでした」と答えた。
MCからの「染五郎にどんな役を演じてもらいたい?」という質問に、アスターは「あなたをキャスティングするなら、たぶん歌舞伎役者の一家の映画でしょう。そして、彼らが恐ろしい秘密を隠している物語。善人のような顔をしておいて、実はもっとも悪人」と夢想。染五郎は「実際にそういう人だと思われていたら、嫌ですけど(笑)。役としてはすごくやってみたいです」と反応していた。
プロモーション活動が始まる前に、長く日本に滞在していたというアスター。前回に引き続き訪れたという京都については「世界一好きな街の1つ」と語り、京都のあとは瀬戸内海の直島で現代アートや建築に触れ、富士山の近辺にも滞在した。「今回は登れなかったので、次回は富士山に登れたら」と話す一幕も。染五郎は“日本で連れていきたい場所”として、最近訪れて感動したという奈良の長谷寺にある十一面観世音菩薩立像をお薦めした。
イベントの最後、アスターは金色のハッピを着て、染五郎と一緒に鏡割り。MCの「ボーは」の掛け声をきっかけに、観客が一斉に「おそれている」と発声し、2人は木槌を振り下ろした。
R15+指定となる「ボーはおそれている」は2月16日より全国でロードショー。アスターは明日19日の「ミッドサマー」のQ&A付き上映、20日の「ボーはおそれている」のQ&A付き試写会にも出席する予定だ。
映画「ボーはおそれている」予告編
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