東京フィルメックス「黄色い繭の殻の中」が最優秀作品賞、「冬眠さえできれば」は2冠
2023年11月26日 19:43
4 映画ナタリー編集部
第24回東京フィルメックスの受賞結果が、本日11月26日に東京・有楽町朝日ホールで発表された。
最優秀作品賞に輝いたのは、ファム・ティエン・アン監督作「黄色い繭の殻の中」。バイク事故で義理の姉を亡くした青年ティエンが、奇跡的に生き残った幼い甥を連れて、義姉の遺体を故郷の村に送り届けることから物語が展開する。国際審査員のクオ・ミンジュンは「映画における永遠の探求を、野心的かつ愛おしげに描いている」と受賞理由を読み上げた。ベトナム出身のファム・ティエン・アンは壇上で関係者に感謝を述べ「この賞が常に作品とともにあり、映画がさらに遠くに歩けること、また世界の観客に届けられることを期待しています」と伝えた。
審査員特別賞には、2023年のロカルノ国際映画祭で最高賞を受賞したアリ・アフマザデの「クリティカル・ゾーン」と、モンゴルで生きる人々の苦難を描くゾルジャルガル・プレブダシの「冬眠さえできれば」が選出。アリ・アフマザデは「アンダーグラウンドな作品に注目し、認めてくれたことに感謝申し上げます。いつの日かその場に参加しお会いできたら」、ゾルジャルガル・プレブダシは「2017年にタレンツ・トーキョーに参加しアワードをいただきました。それが励みになり、この作品を作ることができました」とビデオメッセージを送った。なお「冬眠さえできれば」は本映画祭の観客賞も受賞し、共同プロデューサーのバトヒシグ・セド・アユシジャヴとキャストのガンチメグ・サンダグドルジが授賞式に出席した。
キム・テヤンの「ミマン」は、学生審査員賞に選ばれた。学生審査員の藤崎諄は「目の前で生きているかのような彼らの自然な会話から、物語が立ち上がっていく。巧みな脚本と映像設計に魅了された」と授賞理由を説明。登壇したキム・テヤンは「映画の先生に、映画はたくさんの人が関わって作るものだと教えられました。映画が公開されると、観客もその一員になります。そのこと自体がロマンチックで大切な経験だから、申し訳ないという気持ちではなく、感謝の気持ちで映画を撮るように言われました。これからも、映画を撮り続けられるようにがんばります」と伝えた。
最後に国際審査員のワン・ビンは「フィルメックスに集まったのは、アジアの若い作り手による素晴らしい作品。本映画祭を通してアジアの状況がよくわかりました。(コンペティションからは)残念ながら賞は3つしかあげられませんが、ほかの作品もとても優秀です」と語る。また彼は、ともに国際審査員を務めたアノーチャ・スウィーチャーゴーンポンとクオ・ミンジュンに視線を向け「素晴らしいお二人と審査を楽しみました」と笑顔を見せた。
全受賞結果は以下の通り。
※藤崎諄の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
第24回東京フィルメックス 受賞結果
最優秀作品賞
ファム・ティエン・アン「黄色い繭の殻の中」
審査員特別賞
アリ・アフマザデ「クリティカル・ゾーン」
ゾルジャルガル・プレブダシ「冬眠さえできれば」
観客賞
ゾルジャルガル・プレブダシ「冬眠さえできれば」
学生審査員賞
キム・テヤン「ミマン」
タレンツ・トーキョー・アワード2023
サイ・ナー・カム「Mangoes are Tasty There」
スペシャル・メンション
アンジェリーナ・マリリン・ボク「Free Admission」
オーツ・インチャオ「Water Has Another Dream」
SARU @saruKmovie
東京フィルメックス、コンペ、キム・テヤン監督の『ミマン』〈미망〉は、学生審査員賞と。
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