「ゴジラ‐1.0」山崎貴が念願のドルビーシネマに感激、音響効果・井上奈津子の裏話も

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「ゴジラ‐1.0」の監督を務めた山崎貴と音響効果を担当した井上奈津子によるトークセッションが、第36回東京国際映画祭のイベントとして本日10月31日に行われ、同作のDolby Cinema版の制作についてさまざまな裏話が飛び出した。

「ゴジラ‐1.0」トークセッションにて、左から山崎貴、井上奈津子。

「ゴジラ‐1.0」トークセッションにて、左から山崎貴、井上奈津子。

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11月3日に全国公開される「ゴジラ‐1.0」はDolby Cinema作品として制作され、通常の劇場に加えて、全国のDolby Cinema10館およびDolby Atmos対応のスクリーンで上映。Dolby Cinemaでは、音が全方位から聞こえてくるDolby Atmosの立体音響、豊かな色彩とコントラストを実現させるDolby Visionの映像により新たな映画体験を楽しめる。

脳が錯覚するほどのリアリティ

山崎貴

山崎貴[拡大]

山崎は自作のDolby Cinema対応が初めてということで「念願でした。この作品で実現できてうれしい」と喜びをあらわに。ScreenX、MX4D、4DX、IMAXでも上映が決定しており、「ラージフォーマットは全部やる。それならDolby Cinemaも必須だろう」という流れで実現に至ったそう。まずはDolby Visionの映像について山崎が熱弁。「IMAXなど映画の没入感を高めるフォーマットはいろいろありますが、Dolby Cinemaはスクリーンの向こうに、もう1つの現実世界があるような感覚。物体が本当にそこにあるように見えるんです」と述べ、「“怖いゴジラ”を表現したかった。脳が錯覚するほどのリアリティを出せるのがDolby Cinemaだったんです」と、表現の方向性にぴったりだったことを明かす。

Dolby Visionの映像では、従来よりも明暗を鮮明にするハイダイナミックレンジ(HDR)が実現。色彩の幅も段違いで、山崎は「明るい黒から暗い黒まで表現できる」と興奮しながら説明する。暗闇のシーンについては「黒にこんなに階調があったのかと。人間って暗闇で目を凝らすと(目が慣れてきて)いろいろな情報が見えてくるけど、映像になるとほぼ黒になってしまう。でもHDRは夜に肉眼で見ているような感覚です」とアピール。光の表現に関しても「まぶしい明るさだけど、白飛びではなく、まぶしさの中にも階調があります」と解説する。

エグいほどの“Atmos感”

井上奈津子

井上奈津子[拡大]

井上はゴジラの足音や環境音など、セリフと音楽以外すべての音を手がけた。すでに7.1chサラウンドのミックスを終えてからDolby Atmosのミックスに着手したが、「Atmosの音を聴いたら全然違う世界があって。音が縦に広がることで空間の抜けが表現されて、言葉にできないほど感動しました」と振り返る。山崎も深くうなずいて「ゴジラの声が高いところから聞こえてきて、縦の情報ってすごいですよね。怪獣映画に向いてると思う」と相性のよさを伝えた。

井上からは音響チームの苦労話も。「監督とプロデューサーに見せるとき『めちゃくちゃいいね!』と言ってもらえると期待していたら、『あれ? こんなもん?」みたいな反応で……」と苦笑い。7.1chサラウンドのミックスバランスをベースに作業していたそうだが、山崎からは「もっと行け行け!」と注文が入り、もっと“アトラクション感”を出すことになったそう。井上は「試行錯誤が楽しかったし難しかったです」と回想。山崎は「おとなしく体験してもらうんじゃなくて、エグいぐらい“Atmos感”を味わってほしかった。攻めたAtmosになったし、画と音が相まって、スペクタクルなシーンになると一体感がすごい。大変なところに放り込まれた感覚になりますよ」と力説し、「もちろん通常上映でもそれを目指していますが、Dolby Cinemaはより現場感が高まっている。本当に“体感する映画”です」と自信をのぞかせた。

野球場に鳴り響くゴジラの声

ゴジラ

ゴジラ[拡大]

山崎から「ゴジラの声を録るのもすごいことをやってますよね?」と話を振られると、井上は「ゴジラの声は初代のものを使うと最初から方針が決まっていました。国宝みたいなもの。それを現代の音響システムで鳴らすのが私の役目だと思っていました」と話し始める。そして初代の声を補強するにあたって“響き”に物足りなさを感じ、野外で音の反響を収録する方法に踏み切る。「大きいスピーカーがあって、広くて、天井がなくて、かつ少し傾斜があって……ZOZOマリンスタジアムしかないと(笑)。電光掲示板の裏の一番大きなスピーカーから鳴らしたときの感動は忘れられません。本当に『いる!』と思いました」と感激を反芻する井上に、山崎も「ゴジラを目の当たりにしたらこの音を聞くんだと思うと震える感じ」と同調した。

通常フォーマットと比べる楽しさ

左から山崎貴、井上奈津子。

左から山崎貴、井上奈津子。[拡大]

最後に山崎は「本当に“そこ”にゴジラが来る。肉眼でゴジラを見たときと同じような感覚をスクリーンで体感できます。ゴジラに本当に会いたい人は、ぜひドルビーシネマを選択していただければ」と促し、井上も「無限の可能性がある中で、この作品のためだけに音をデザインして構築しました。ほかのフォーマットとの違いも楽しんでほしい」と呼びかける。そして2人とも「違いを感じながらいろいろ観てほしい」「通常フォーマットで気に入ったら、Dolby Cinemaでさらなる次元に進んでみて」と述べ、公開に向けて期待を高めた。

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※記事初出時、一部記述に誤りがありました。お詫びして訂正します。

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pasin @pasinpasin

「ゴジラの声は初代のものを使うと最初から方針が決まっていました(中略)ZOZOマリンスタジアムしかないと(笑)。電光掲示板の裏の一番大きなスピーカーから鳴らしたときの感動は忘れられません。本当に『いる!』と」

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