映画「
朝井リョウの同名小説を映画化した本作では、家庭環境、性的指向、容姿など、さまざまな“選べない”背景を持つ人々を同じ地平で描きながら、人間が生きていくための推進力になるのは何かというテーマをあぶり出す。稲垣が不登校の息子を持つ検事・寺井啓喜、新垣が特殊性癖を隠して生きる桐生夏月を演じ、夏月の中学時代の同級生で誰にも言えない秘密を共有する佐々木佳道に磯村、人との交流を避ける青年・諸橋大也に佐藤、大也と同じ大学に通う神戸八重子に東野が扮した。
主演作「半世界」「窓辺にて」が、本映画祭で観客賞を受賞している稲垣は「またこの場所に帰ってこれてうれしいですね。東京国際映画祭というのは映画を愛する人にとって特別な場所。今日初めて観ていただくのでドキドキしています。観終わったあとの声を早く聞きたいですね」と笑みをこぼす。続けて新垣、磯村との初共演を振り返り「2人とも普段見ている表情とは違っていて、物語の登場人物としてそこに存在していた。だからその世界に誘われて、気持ちよく演じられました」と語る。
これを受けた新垣は「稲垣さんと共演したのはシリアスで濃密で重要なシーンだったんです。一緒に力を尽くすことができて光栄でした」と述べ、磯村は「稲垣さんとの共演シーンはわずかではあったんですが、忘れられない場面でした。寺井さんが怖くて、その怖さに助けていただいた。引っ張っていただきました」と感謝を伝えた。また磯村は「脚本を読んだとき、また非常に難しい役と出会ったなという印象でした」「届けたいメッセージは今の時代にとても合っている。救いになるのではないかと思いました」と回想。岸は原作の魅力を問われ「世界には大多数と呼ばれている人がいて、そのカテゴリーに入らない、マイノリティのマイノリティが存在している。そういった人をすごく丁寧に描いていて衝撃でした」と述べる。
出演が決まる前から原作を読んでいたという佐藤は、オーディションで本作への出演を射止めた。彼は「受かったときはうれしかったです。やらなきゃいけないことがたくさんあって、あまり緊張している時間はなかったです」と明かしつつ、通訳が入る映画祭の独特のテンポに少し戸惑う様子を見せる。それを横で聞いていた稲垣は「僕もワンセンテンスが長かったかなって反省してます」と打ち明け、会場を笑わせた。
キャストからその演技に絶賛の声が上がっているのは東野。恐縮しつつ「八重子が感じている不安感、恐怖心は感じたことがあるもの。彼女は分岐点で、私とは違う道に行っただけ。その先の八重子の人生と向き合った時間でした」と言葉に力を込める。
最後に新垣は「あまりこういうふうに観てほしいということはなくて。心に届くものがあればうれしいですし、ありがたいです」とコメント。稲垣は「それぞれの個性を認め合うことの大切さ、発見することの喜びを感じていただける作品。登場人物を見ていると息が苦しくなるような切なさがあると思います。最後には感動をお届けできる素晴らしい作品に仕上がっています」とアピールし、イベントの幕を引いた。
「正欲」は11月10日よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
映画「正欲」本予告
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稲垣吾郎「正欲」プレミアで新垣結衣・磯村勇斗との共演回想「世界に誘われた」(写真12枚) https://t.co/uLNVwxioVy