ベトナムの元結合双生児“ベトちゃんドクちゃん”として知られる、“ドクちゃん”こと
ベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響で結合双生児として生まれ、1988年10月4日に分離手術を行ったドク氏。2023年で42歳を迎えた現在、結婚17年目となる妻トゥエンさん、双子の子供サクラちゃん・フジくんと暮らし、ステージ4のがんを患う義母を介護しながら、自身も体調を崩して入退院を繰り返している。
日越外交関係樹立50周年と分離手術35年を記念して制作されたドキュメンタリーは、今も深刻な健康問題を抱えながら、平和のアンバサダーとしての使命とともに生きる彼の姿を捉えた作品。プロデューサーは、ドク氏と平和活動を長年続けているリントン貴絵ルース。監督はドキュメンタリー作家の
ドク氏は「この映画では、幼少期から現在までの私の人生と本質を皆さんにお見せし、語るつもりです。これは私にとって非常に大切な財産であり、人生の軌跡となるでしょう。私の双子の子供たちや、これからの世代を担う多くの若者に、前向きに生きる力を与えられることを願っています」と本作についてコメントしている。
「ドクちゃん(仮題)」は2023年度内に完成発表を行い、2024年春以降の一般劇場公開を予定。作品を通じて平和活動への貢献も目指す。クラウドファンディングの目標金額は500万円で、リターンはエンドクレジットへの名前掲載など。
グエン・ドク コメント
この映画では、幼少期から現在までの私の人生と本質を皆さんにお見せし、語るつもりです。
これは私にとって非常に大切な財産であり、人生の軌跡となるでしょう。
私の双子の子供たちや、これからの世代を担う多くの若者に、
前向きに生きる力を与えられることを願っています。
それがこの映画を通じて伝われば幸いです。映画の完成を楽しみにしています。
リントン貴絵ルース(プロデューサー)コメント
10年以上前、音楽を通じた平和活動の場でグエン・ドクさんに出会った際に、思い切って彼に聞いた質問があります。
「(枯葉剤を撒いた)アメリカのことは嫌いですか?」
彼の答えは、
「アメリカ人も、僕と同じように平和を愛してる」
でした。
それ以来、彼から「生きる」ことの困難さと逆境に立ち向かう人間の本質的な強さを学びました。
彼は分離手術を受けた結合双生児として広く知られています。
しかし、その存在が多くの人にとって「過去の人」として捉えられ、
一見、終わったドラマのように見えてしまっていることに私は危機感を感じています。
それではまた残念なことにも悲惨な歴史は時を超え場所を変え、
繰り返されてしまうのではないでしょうか。
SDGs(持続可能な開発目標)が掲げる「持続可能な」平和の必要性を、ドクさんはよく知っていて、
「これまで戦争の犠牲になった人の命が無駄になっている。」と言っています。
この混沌とした時代において、彼だからこそ伝えられる「平和」のメッセージがあります。
日本人とベトナム人が、あらゆる知識と技術を結集しヒューマニズムに溢れた協力で
ベトちゃんドクちゃんを救った経緯からも、
日本とベトナムが外交関係樹立50周年を迎えるこの年に、彼の現在の姿を映画にすることは必然でした。
彼の体調は極めて悪いです。足は一本、骨盤は一つ、そして一つしかない腎臓は悲鳴をあげています。
42年前から人々を引き寄せ続ける彼の明るい性格のおかげで、
その事実を忘れそうにもなりますが、彼は重度の障がい者です。
彼は「あと5年生きれるかわからない」と言っていましたが、映画制作が進むにつれて、
「この映画が完成したら、何十年も健康でいて、
映画と一緒に平和活動に引き続き励もう」という気持ちで溢れています。
このドクさんの命をかけた真実のストーリーこそが
人類に「平和」の意味を説き、「平和」への思いを呼び覚ますきっかけを生み出すと信じ、
映画の制作に全身全霊で取り組んでいます。
この映画の使命を支えるためには皆様の協力が不可欠です。
どうぞご支援をよろしくお願い申し上げます。
※記事初出時より、一部表現を変更しました
ミ☆リ @minori_ironim
ドクさんは分離後の手術とその後のフォローで何度も母校に来ていらしたので、母校の附属病院でお見かけしました。当時の学長もベトナムまで会いに行ってたり。 https://t.co/DoLXm8uvvO