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豊田徹也によるマンガを
大島と木村が今泉の監督作でタッグを組むのは、「窓辺にて」に続いて2度目。もともと原作のファンである木村は「僕はかなり好きな映画でしたね。今泉映画の中でも一番好きだった」と感想を述べる。大島は「最近(の今泉作品)は作品ごとにちょっと重みが増していますよね。主題も単純に重くなっているんですけど、その中に今泉さんの独特の軽さみたいなものがあって、重いものを水の中に入れて、その浮力で軽くするというような絶妙さがある」と口にした。
木村は「(映画にスチルカメラマンとして参加する際は)監督と撮影監督が話すのと同じくらいに、監督と自分がコミュニケーションを取ることができたときはうまくいきますね」と語る。大島が「やはり『愛がなんだ』から始まった今泉さんのスタイルが木村さんの写真になっているんですよ」と指摘すると、木村は「それはありがたいと同時に大丈夫かしら、という思いもありますね。でも最初からうまくいってたわけではなく、最初はもめたこともありましたが、お互いにシンパシーを持ってやっていることがわかってきて。今泉さんがどこを見せたいか。なんとなく肌感覚でわかってきた」と明かした。
本作のビジュアル撮影で初めて対面したという大島と木村。木村が「水中シーンのロケハンのときにお会いしたんですが、大して会話をしなかった。僕が人見知りということもあるんですが」と回想すると、大島は「得てしてアートディレクターとカメラマンは同じ方向を見ているから、うーんとなりがちで、あまり会話をしないんですよね。でもしゃべらずとも共有できるものがあるから不思議ですよね」と述懐した。
水中から浮かび上がるかなえを捉えた写真について木村は「実はプールが苦手なんですよ。でも真木さんが水の中に入っているのに、自分が縁から撮っていてもいいものが撮れるはずがない。だから水の中に入れる服と、鼻栓など潜水グッズをいろいろと買って。真木さんと一緒に『せーの』で潜って、限界まできたら上がって、というのを何回か繰り返した。あれはなかなかハードでしたね」と振り返る。
木村が「どうしても狭い撮影現場だと、ベストポジションはムービーのカメラで。その周りだと録音さんの場所とかもあるんで、スチルカメラマンが入る場所がなかったりする。それはいい写真にならないんじゃないかと思っていて。でも今は撮影も4Kとか8Kとかになっているので、場面写真を使いたいなら、ムービーの映像切り抜きでいいんじゃないかと思っているんですが」と話すと、大島は「僕はその意見には真っ向から反対したい」と断言。続けて彼は「この構図がいいなと思って本編映像から抜くと、ことごとく弛緩しちゃうんです。例えばカメラがパンしても、パンした先の広さも加味された構図になるから。そこで止まったときには、そこですでにトリミングされている映像になってしまう。結局うまくコマ抜きができないなとなって。今はまさに(現場でスチルカメラマンが撮る)スチル写真の重要さを痛感しているところです」と力説した。
澤井香織と今泉が脚本を担い、細野晴臣が音楽を手がけた「アンダーカレント」は、10月6日に全国で公開。真木よう子、井浦新、リリー・フランキー、永山瑛太らが出演する。なおこのたびTシャツ集団・weberと本作のコラボTシャツが10月6日正午より販売されることが明らかに。カラーは白と黒の2色展開で、価格は税込7700円だ。
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