映画「
「ほかげ」では、終戦直後の闇市を舞台に、絶望と闇を抱えて混沌の中で生きる人々の姿が描かれる。趣里が戦争で家族を失い、焼け残った居酒屋で体を売って生きる女、森山が片腕の動かない謎の男、塚尾が女と交流を深めていく戦争孤児に扮した。
塚本の監督作が同映画祭でスクリーンにかけられるのは、2018年公開の「斬、」以来5年ぶり9度目。「ほかげ」本編がエンドロールに差し掛かると、場内からは拍手と歓声、約8分間のスタンディングオベーションが巻き起こった。
上映後には観客とのQ&Aの場が設けられ、作品について尋ねられた塚本は「実際に戦争に行った人だけではなく、戦争のせいで恐ろしい目に遭った一般の人たちの目を通した物語です。僕自身は歳を取ったので召集されることはないでしょうが、もし今後、戦争に行くとなったら若い人たちです。そういったことが起きないようにという願いを込めて制作しました」と語る。森山は「塚本監督の映画はどれも力強い作品だと感銘を受けていたので、今回、参加させていただけることを光栄に思っています」とコメント。塚尾は「僕の名前は桜雅です。8歳です。初めまして!」とイタリア語で挨拶して会場を沸かせた。
上映を終えた塚本は「実は『ほかげ』は僕自身がとっても好きな映画にできたんです。このような大きなスクリーンで上映できてうれしかったですし、お客様が息を詰め、集中して観てくださっていて、観終わったあとに、祈りの思いが伝わったという感触を非常に強く感じられました」と喜ぶ。森山は「監督の込めた祈りやエネルギーがこれからどういうふうに観客に届いていくのだろうと楽しみでもあります」と、塚尾は「自分が出ている映画を多くの方が観てくれていると思うと、すごくうれしい気持ちでいっぱいです!」と心境を伝えた。
なお金獅子賞などの受賞発表および授賞式は、現地時間9月9日に行われる。
「ほかげ」は11月25日より東京・ユーロスペースほか全国で順次公開。同作は第48回トロント国際映画祭のセンターピース部門にも選出されている。
※塚本晋也の塚は旧字体が正式表記
映画「ほかげ」予告編
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9/21(木)の「斎藤久志再発見」プログラムでご登壇いただく、塚本晋也監督。
ヴェネチアで、新作『ほかげ』が上映されたようです!
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