イベントでは、8月17日まで限定上映中の「
岨手は「おこがましい話ですが、『
このたび公開される4Kレストア版で「エドワード・ヤンの恋愛時代」を再見した濱口は「(はっきりと)見えるようになりましたよね、みんな顔がわかる」と笑みをこぼし、「実はこの2作は出演俳優が共通しているんですけど、数年前の『古嶺街少年殺人事件』のデジタルリマスター版と、今回の『恋愛時代』4Kレストア版を観てようやくそれがわかりました。また声もとても印象に残りましたね。喧嘩をしているシーンの痛い感じや、暗い場面での親密な2人だけの空間で発せられる声が如実に描かれていて、前に観たときよりすべてが自分の心に届くような気がします」と話す。
岨手は「歩道橋で義理の兄が1人で下を眺めるシーンがあるのですが、DVDで観たときはあまり印象に残ってなかったんです。でもレストア版でそのシーンを観たとき『あっ、この映画は基本2人、カップリングで構成されているんだ』と気付き、1人になる瞬間が鮮烈に感じられた。2人でいるのに何か気持ちが寄り添えきらない人たちのカップリングがずっと描かれるからこそ、1人になったときポジティブな気持ちではないはずなのに、どこか清涼感を感じる気がしました」と解説した。
最後に濱口は「大学院のときに大視聴覚教室で『古嶺街少年殺人事件』を観たのが、自分の映画人生が変わった瞬間だった。こんな映画が存在するのか、と。世界そのものが映っているという感覚を持ちました。それが今自分が映画をやるモチベーションになっています」と述懐。岨手は「2作ともわかりやすい映画ではないが、よくわからなかったらもう一度観ていただけたらと。何回も観るうちに自分の脳内解釈も変わってくるし、人生観も変わってくる。そういった体験をさせてもらえること自体が、私は映画を観る1つの価値だと思います」と観客に語りかけた。
「エドワード・ヤンの恋愛時代 4Kレストア版」はTOHOシネマズ シャンテのほか、東京・新宿武蔵野館などでロードショー。
※「古嶺街少年殺人事件」の古は牛偏に古が正式表記
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#エドワード・ヤン 作品を濱口竜介、岨手由貴子が語る(映画ナタリー)
「大学院のときに大視聴覚教室で『牯嶺街』を観たのが、自分の映画人生が変わった瞬間だった。こんな映画が存在するのか、と。世界そのものが映っている」
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