濱口竜介の監督最新作「悪は存在しない」ヴェネツィア国際映画祭に正式出品

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「ドライブ・マイ・カー」などで知られる濱口竜介の監督最新作「悪は存在しない」(英題「Evil Does Not Exist」)が、第80回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品決定。同映画祭でワールドプレミア上映されることが発表された。

濱口竜介

濱口竜介

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本作は濱口と「ドライブ・マイ・カー」の音楽を手がけた石橋英子による共同企画。石橋がライブパフォーマンスのための映像を濱口に依頼したことが始まりだった。その映像を制作する過程で、106分の長編劇映画「悪は存在しない」が完成。また本作と共通の映像素材から作られた石橋の音楽ライブ用サイレント映画「GIFT(ギフト)」が、10月にベルギーで開催されるゲント国際映画祭でお披露目となる。それ以降、石橋によるライブパフォーマンスとともに世界各地で上映される予定だ。

濱口は「石橋さんとデモ的な音楽と映像をやり取りするうちに、『ミュージックビデオのようなものは自分には撮れない、普段やっているように映画として演出しないと石橋さんの音楽に太刀打ちできない』という思いが固まり、物語映画の脚本を書き下ろしました。その物語映画のフッテージからライブ用映像を作ろうと考えたのです」と語り、「結果として『悪は存在しない』は、石橋さんの美しい劇伴音楽とともに一本の独立した映画として完成しました。今はヴェネチア国際映画祭が、この奇妙な成り立ちの映画の魅力を受け止めて、コンペティション部門に選出してくれたことを心から嬉しく思っています」と喜びを伝えた。

石橋英子

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また石橋は「素晴らしい作品になることは最初からわかっていてもなお、脚本や映像を共有していただくにつれ、これは凄いことになってきたぞ、、と私が当初考えた事を遥かに超えた作品が出来上がって行くのを目の当たりにし、その事に驚きながら音楽を作りました。今もまだ驚いています。そして一つの独立した映画作品になり、こうしてヴェネチア国際映画祭に出品されることをとても嬉しく思います」とつづっている。

なお第80回ヴェネツィア国際映画祭はイタリア現地時間の8月30日から9月9日まで開催。「悪は存在しない」のワールドプレミア上映には濱口、石橋に加え、出演者である大美賀均西川玲小坂竜士渋谷采郁らが参加予定となっている。

濱口竜介 コメント

「悪は存在しない」は元々、石橋英子さんからのライブパフォーマンス用映像依頼を受けたことをきっかけに制作が始まりました。石橋さんとデモ的な音楽と映像をやり取りするうちに、「ミュージックビデオのようなものは自分には撮れない、普段やっているように映画として演出しないと石橋さんの音楽に太刀打ちできない」という思いが固まり、物語映画の脚本を書き下ろしました。その物語映画のフッテージからライブ用映像を作ろうと考えたのです。三月に長野・東京での撮影を終えて、非常に強い手応えを感じました。出演者一人ひとりの声やありようが、私が想像していたものを遥かに越えていたからです。結果として「悪は存在しない」は、石橋さんの美しい劇伴音楽とともに一本の独立した映画として完成しました。今はヴェネチア国際映画祭が、この奇妙な成り立ちの映画の魅力を受け止めて、コンペティション部門に選出してくれたことを心から嬉しく思っています。この場を借りて、キャスト・スタッフの素晴らしい仕事にも感謝します。
また共通の映像素材から生まれた「GIFT」は、「ドライブ・マイ・カー」で石橋英子さんに「ディスカバリー・オブ・ザ・イヤー」賞を授与したベルギーのゲント国際映画祭で、石橋英子さんのライブパフォーマンスとともにお披露目されます。私自身も、石橋さんの一ファンとして、この夢のような機会を心から楽しみにしています。

石橋英子 コメント

2年前、海外のプロモーターの方から、“映像と一緒にライブをやってみる気はないか?”という漠然とした提案をいただきました。
私はジャンルや演奏をする場所にこだわりをあまり持たずに活動してきたこともあり、そのアイデアが自分を面白い場所に連れて行ってくれるのではないかと、これも漠然とした単純な期待から本気で考えてみることにしました。
多くの素晴らしい実験映像作品、アート映像作品と言われている作品もありますし、おそらく最初にプロモーターが提案したのはこういった作品を作っている作家をイメージしたのではないかと推測しますが、私は一緒にお仕事して楽しかった人にお願いしたいと思い、まだ授賞式ラッシュなどでお忙しかった濱口さんにだめもとでご相談させていただきました。
「ドライブ・マイ・カー」でご一緒させて頂いた経験がとても素晴らしかったからです。
物語を紡ぐ才能の持ち主であると同時に、「東北記録映画三部作」のドキュメンタリー作品等からみられるように音楽的詩的な作り方をされていて、あらゆる制限から自由を渇望しつつも思いやりと洞察力に溢れた濱口さんとなら何か一緒に面白いことができるのではないかと思いました。
素晴らしい作品になることは最初からわかっていてもなお、脚本や映像を共有していただくにつれ、これは凄いことになってきたぞ、、と私が当初考えた事を遥かに超えた作品が出来上がって行くのを目の当たりにし、その事に驚きながら音楽を作りました。今もまだ驚いています。
そして一つの独立した映画作品になり、こうしてヴェネチア国際映画祭に出品されることをとても嬉しく思います。
“悪は存在しない”、ライブ用サイレント映画「GIFT」が今後どんな旅をしていくのか、とても楽しみです。

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オノトモコ @tmkono

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