のんの“いま”を支える言葉「満足できないから続けられる」

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本日7月13日に30歳の誕生日を迎えたのん。映画ナタリーはひと月前、日本映画専門チャンネルの特集企画「のんのいま」の囲みインタビューに参加した。特集名にちなんで「今の自分を作ったものは?」という質問をぶつけると、出世作となった連続テレビ小説「あまちゃん」の撮影現場で共演者から贈られた言葉を教えてくれた。

のん(スタイリスト:町野泉美、ヘアメイク:菅野史絵)

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2013年の初放送から10年が経った今年、再放送が行われている「あまちゃん」。のんがテレビドラマ初主演を務め、多数の女優賞を獲得し、一躍脚光を浴びた作品だ。「じぇじぇじぇ」のフレーズが一大ムーブメントを巻き起こし、日本中を元気にした同作だが、当時19歳、20歳ののんにとっては、悩みの尽きない現場だったという。

「自分の演技に全然満足できなくて、宮本信子さんと尾美としのりさんに悩みをこぼしていたことがあったんです。そのときお二人とも同じことを教えてくれて」と回想する、のん。彼女の心に今でも深く刻まれている、その言葉とは「満足できないから続けられる」というものだった。「宮本さんや尾美さんでも『まだ満足してないんだ』ということにすごく衝撃を受けました。演技を極めているお二人はどんなビジョンを持っているんだろう?と、すごく巨大なものを目の当たりにした気になって。お二人の演技に追いつくにはまだまだ。自分ですごくいい演技ができたと思っても、撮影した映像を観たら、思ったよりできてない(笑)。だったら自分なんて落ち込んでいられない。あきらめがついたというか、だからがんばろうと思えたんです」と振り返る。

のん(スタイリスト:町野泉美、ヘアメイク:菅野史絵)

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のん自身も再放送を「ちょこちょこ観てます」と楽しんでいる様子。さらに「本当にいい現場だったことを思い出します。スタッフ・キャストの皆さんが宮藤(官九郎)さんの書いた脚本を面白いと思いながら、チームを作り上げていく。『楽しくてしょうがない』。そういう空気感がずっと漂っていました。毎日、毎日やりがいがありました」と振り返りながら、現在もSNSや報道でたびたび話題になっていることについて「めちゃくちゃうれしいです。自分にとって基盤になっている作品。たくさんの方に知ってもらうきっかけにもなっています。それが日本を元気にする、笑顔にする作品だったことが誇らしいです。やり抜いたんだなと実感して、改めて自信になりました」と語った。

「のんのいま」では脚本・監督・主演を担った映画「Ribbon」がテレビ初放送。コロナ禍で青春を奪われ、卒業制作展の中止に直面する美大生を描いた本作には、「この映画を作ったから、あの時期を乗り越えられた。何もせずに休んでいたら、自己嫌悪に陥っていたと思います。『Ribbon』を撮れたことで助けられました。大切な作品です」と語るほど深い思いがある。のん自ら演じた主人公いつかが口癖のように話す「重たい」という言葉。その言葉が生まれた背景を聞くと「自分が高校生のときに感じていた感情を思い出して書きました。自分にはなりたいビジョンがあって、そこにたどり着けると考えている。だけど別に評価されているわけではない。自分だけが自分をすごいと思っている時期。そのときの自分にコロナ禍という壁が立ちはだかったらどんな気持ちになるかな?と考えたところ『重たい』というワードが浮かんできて」と明かした。

かつてののんが感じ、いつかに託した“重み”は、「Ribbon」を作り上げることで脱したという。一方で「最近は本当にまじで体が重たいです! 年齢なのか忙しさなのか、そういうのは感じています」と肉体的な変化も笑って打ち明ける。30代で追い求めたいことを尋ねると、悩みながらも「筋肉……!」と一言。「筋肉を付けたいですね。単純に筋肉がないのもあるんですけど、体力を付けたいです。わりとタフなほうなんですけど、どれだけ働いても体は軽いほうがいいなと思って。喧嘩で負けなそうな見た目になりたい。本当に喧嘩したいわけじゃないですよ(笑)」と教えてくれた。

のん(スタイリスト:町野泉美、ヘアメイク:菅野史絵)

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特集では、さかなクンの自叙伝を大胆にアレンジし、のんが魚のことを好きすぎるミー坊を演じた主演作「さかなのこ」もオンエア。自分の“好き”を突き詰めることで直面する社会の厳しさや孤独を描く一方で、“好き”という強い気持ちがもたらす喜びも紡がれる。俳優にとどまらず、音楽やアートなど幅広いジャンルで活動するのんも、さかなクン同様に自分の好きを突き詰めてきた存在だ。のんはミー坊を通して感じたことを「自分の好きを大切にすることで、自分や生活が豊かになってくると感じて。仕事にするかどうかにかかわらず、自分の好きに敏感でいることは大切。それがどんなふうに好きなのか、自分の気持ちに目を向けて考えてみると、好きと嫌いが明確になってくる。これはすごいと思うけど好きじゃない、とかもありますよね。自分の好きを大切にしていたら、何かが実る。自分が豊かになると思います」と話した。

監督としての次回作については、具体的な制作予定はないものの、すでに頭の中には構想があるそう。「いくつも断片的にメモしていたんですけど、それを1つにできるなと思って。今、こういう話に組み立てられるんじゃないかなあと構想しています。何かお話をいただいているわけじゃないですが、自分の中でやりたいなって考えています」と期待を膨らませた。

「のんのいま」は7月26日、27日にオンエア。また7月16日、23日の「日曜邦画劇場」ではゲストにのんを迎えて、「Ribbon」「さかなのこ」が2週連続で放送される。

「Ribbon」TV初放送記念「のんのいま」

日本映画専門チャンネル 2023年7月26日(水)、27日(木)19:00~
<放送作品>
「Ribbon」※テレビ初放送
「さかなのこ」
「オフィス3○○舞台『私の恋人』」
「オフィス3○○舞台『私の恋人beyond』」※テレビ初放送

日曜邦画劇場「Ribbon」

日本映画専門チャンネル 2023年7月16日(日)21:00~ほか

日曜邦画劇場「さかなのこ」

日本映画専門チャンネル 2023年7月23日(日)21:00~ほか

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Atsushi Fukuda @fukudadesuga

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