一切宣伝なしの異例「君たちはどう生きるか」宮崎駿の現在の心境は?鈴木敏夫が明かす

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日本テレビ系の映画番組「金曜ロードショー」の歩みをたどりながら、スタジオジブリ作品の魅力を紹介する展覧会「金曜ロードショーとジブリ展」が6月29日から9月24日にかけて東京・天王洲の寺田倉庫で開催。開幕に先立ち本日6月28日に開会セレモニーが行われ、プロデューサーの鈴木敏夫らが登壇した。鈴木が7月14日に公開を控える「君たちはどう生きるか」において、一切宣伝なしという異例の方針を取っていることについて、監督である宮崎駿の感触を打ち明ける場面もあった。

「金曜ロードショーとジブリ展」開会セレモニーに出席した鈴木敏夫。

「金曜ロードショーとジブリ展」開会セレモニーに出席した鈴木敏夫。

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「金曜ロードショーとジブリ展」ビジュアル

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1986年に「風の谷のナウシカ」を放映して以来、これまで200回以上にわたってスタジオジブリ作品を放送してきた「金曜ロードショー」。宮崎が生み出したキャラクターの“フライデーおじさん”を、「耳をすませば」の監督である近藤喜文が仕上げたムービーが1997年から2009年までオープニングを飾ったことでも知られる。本展では作品が放送された時代ごとの記憶と記録を通じて映画の魅力に迫り、スタジオジブリ作品が持つ時代性と普遍性を浮き彫りにしていく。

「金曜ロードショーとジブリ展」開会セレモニーの様子。左から杉山美邦、鈴木敏夫、竹澤浩。

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事前に展示を見ながら思い出した人物として、故人である日本テレビの会長・社長を務めた氏家齊一郎と、徳間書店を創設しスタジオジブリの社長も務めた徳間康快の名を挙げた鈴木。「ジブリは『金曜ロードショー』でしかやらない。なんでこんなことになってしまったのか? 僕にとっては当たり前だったんですけど、皆さんの前ではなかなかお話してない。この2人が若いときから仲が良かったんですよ」と、親交のあった2人の関係性を紹介していく。「一言で言えば友情。これが、そののちのジブリと日テレの関係を作った。この2人が僕のこともずいぶんかわいがってくれたおかげで、今日の僕があるのかなとも思います」と明かす。鈴木はジブリが認知を広げるうえで「金曜ロードショー」が大きな役割を果たしてきたことを認め「皆さんがジブリのことを忘れないのは、この番組によるところがものすごく大きい。実は、このタイトルで展示をやろうよと言い出したのは自分なんですよ。この10年間、いろんな人が支持してくれたのは、番組の存在がものすごく大きかった。若い人と話すと必ず『映画館では観てないんですけど』と言われます。それがヒントになった」と続けた。

セレモニーのあとの囲み取材で、近年ジブリ関連の展覧会が増えていることを問われると「ジブリがスタートしてから38年。長い歴史を背負った。その歴史を追うのが必要条件になってくる。特に大きな意図はありません」と回答。先ほど鑑賞したばかりの展示について「今回は日本テレビさんが主体。これまでと何が違うかというと『金曜ロードショーとジブリ展』は参加型。過去の展示はどちらかといえば美術展。今回はエンタテインメントに徹している。そこが大きく違う」と話した。なお映画ナタリーでは内覧会の模様も追ってレポートする。

「君たちはどう生きるか」ポスタービジュアル

「君たちはどう生きるか」ポスタービジュアル[拡大]

囲み取材では今のところポスターしか情報解禁されておらず、鈴木が公開まで一切宣伝しないと明言している新作「君たちはどう生きるか」に関する質問も多数飛んだ。鈴木はジブリにおける映画宣伝を「かなり宣伝の中で作品の内容を伝えきたほうだと思うんです。いろんな作品で頭から最後まで情報が出ていた。もしかしたら、映画を観るほうの興味を少し削いでる? そんな気がしてたんですよ」と振り返りながら、「いろいろ考えているうちに一切宣伝がなかったら、皆さんどう思うんだろうと考えてみた。僕の考えですけど、これだけ情報があふれている時代、もしかしたら情報がないことがエンタテインメントになる。そんなふうに考えました。うまくいくかどうかわかりません。わからないけど、それを信じてやる、ということです」と宣伝なしの狙いを語る。この方針に対して、公開を目前に控えた宮崎の感触は「宣伝なくて大丈夫かなあ」だそうで、鈴木が笑いながら打ち明ける一幕も。鈴木曰く、宮崎は「心配になってきた。でも鈴木さん、信じるよ」といった口ぶりだそう。

宮崎駿

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「君たちはどう生きるか」以降の宮崎について記者から質問があると、鈴木は「何しろ今は『君たちはどう生きるか』が大事。その先のことを言うのはルール違反。でも一言だけ、元気です」と証言。スタジオジブリは今後もアニメの制作を続けるのか問われると「基本的には映画会社ですから、映画を作っていきたいんです」と述べつつ「ジブリは思い付き、成り行きでやってきたような会社。最近で言うと、ジブリパークが僕らの予想を超えて脚光を浴びた。人によっては、ここで映画会社をやめて“パーク会社”になるという可能性もあるんですけど(笑)。でも、みんなで話し合って『映画を作り続けようよ』ということで一致しています。実際に次の企画も検討中です」と話す。さらに「今回の『君たちはどう生きるか』について1つだけ言うと、手書き(アニメーション)で作りました。ジブリの歴史で言うと最近の『アーヤと魔女』はデジタル。でも基本は手書きに置きたい。それはありますね」と語っていた。

「金曜ロードショーとジブリ展」のチケットはローチケ、日テレゼロチケで販売。セレモニーには主催する日本テレビの代表取締役 会長執行役員の杉山美邦、特別協賛するKDDIの執行役員常務の竹澤浩も出席した。

金曜ロードショーとジブリ展

東京展

2023年6月29日(木)~9月24日(日)東京都 寺田倉庫 B&C HALL / E HALL
開館時間 10:00~20:00 ※日時指定予約制。最終入場は19:30
通常チケット:大人 1800円 / 中・高校生 1500円 / 小学生 1100円
特典付きチケット:大人 2700円 / 中・高校生 2400円 / 小学生 2000円

富山展

2023年10月7日(土)~2024年1月28日(日)富山県 富山県美術館
※日時指定予約制
※詳細は後日発表

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(c)Studio Ghibli

読者の反応

SYO @SyoCinema

「公開を目前に控えた宮崎の感触は『宣伝なくて大丈夫かなあ』だそう」

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