戦争の地獄図絵を描いた夫妻の大作「沖縄戦の図」全貌に迫るドキュメンタリー公開

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水墨画で風景画家の丸木位里と人間画家の丸木俊の夫妻が沖縄戦の記憶を描いた「沖縄戦の図」。同作に関するドキュメンタリー「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」が、7月15日から東京・ポレポレ東中野で公開される。

「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」ポスタービジュアル

「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」ポスタービジュアル

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丸木俊(中央奥)と丸木位里(右奥)。(写真:石川文洋)

丸木俊(中央奥)と丸木位里(右奥)。(写真:石川文洋)[拡大]

「原爆の図」「南京大虐殺」「アウシュビッツ」と戦後一貫して戦争の地獄図絵を描いた丸木夫妻。沖縄戦の写真はアメリカ側が撮影したものしか存在しておらず、2人は「日本人側から見た記憶を残しておかなければいけない」という思いから取材を重ね、全14部からなる「沖縄戦の図」を制作した。本作は、個々の絵についての説明や批評はあった「沖縄戦の図」を網羅的に紹介する初めての試みに。2人がその晩年に6年の歳月をかけて完成させた「沖縄戦の図」の制作の軌跡を辿ることで、夫妻の命に対するまなざしに迫る。

「『沖縄戦の図』読谷三部作『チビチリガマ』」一部より。

「『沖縄戦の図』読谷三部作『チビチリガマ』」一部より。[拡大]

監督を務めたのは、ETV特集やNHKスペシャルを中心にドキュメンタリーを制作してきた元NHKディレクターの河邑厚徳。2020年に佐喜眞美術館で初めて「沖縄戦の図」を観たときのことを「金縛りにあったように言葉を失った。美術館を出た時には、一枚一枚の絵を貫いたアートドキュメンタリーを作りたい気持ちに火が付いていた」と振り返りながら、「映画では、初めて沖縄戦の図・全14部をのこらず紹介した。個々の絵についての解説はあるが、それを積み重ねてみると画家の考えの軌跡が見えてくるのではないだろうか」とコメントしている。

ジョン・カビラがナレーション、山根基世が朗読を担当。海燕社とアルミードが配給宣伝を担う。現在、予告編がYouTubeで公開中だ。

「丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部」は6月17日より沖縄・桜坂劇場にて先行公開。8月1日からは東京・東京都写真美術館ホールほかでも封切られる。

河邑厚徳 コメント

2020年、はじめて「沖縄戦の図」の前に立った瞬間、金縛りにあったように言葉を失った。美術館を出た時には、一枚一枚の絵を貫いたアートドキュメンタリーを作りたい気持ちに火が付いていた。

映画公開を前に、G7広島サミットを見ていて、「沖縄戦の図」が宜野湾の佐喜眞美術館に収められている意義は想像以上に大きいと感じた。丸木位里、俊は「原爆の図」で世界に知られる画家である。二人の画家は、広島、南京大虐殺、アウシュビッツと第二次世界大戦の三大虐殺を描き上げ、強く望んで1982年12月に沖縄の土を踏んだ。40年間の沈黙がとけ体験者がようやく語り始めた時である。あの悲劇の歴史を伝え続けなければ、戦争はまた起きるという危機感を画家と沖縄住民が共有した。皆が丸木夫妻を応援し、いい絵を描いてくれと願い、協力した。

映画では、初めて沖縄戦の図・全14部をのこらず紹介した。個々の絵についての解説はあるが、それを積み重ねてみると画家の考えの軌跡が見えてくるのではないだろうか。絵に描かれていたのは「空爆」や「空襲」と違う様相を見せた地上戦の真実、愚劣な軍隊、嘘と洗脳で死んだ民間人。二人の画家は終戦後に起きた久米島の虐殺から描き始めたが、最後は読谷村の戦後を描ききって未来の沖縄へと希望を託した。

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(c)2023 佐喜眞美術館 ルミエール・プラス

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戦争の地獄図絵を描いた夫妻の大作「沖縄戦の図」全貌に迫るドキュメンタリー公開(予告あり / コメントあり)
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