「新世代香港映画特集2023」の実施を記念して、上映される2作品「
20日には「縁路はるばる」の監督を務めた
遠距離恋愛をテーマに選んだ理由を「都会に住んでいる人と、そこから遠く離れたところで住んでいる人との間だからこそ、いろいろな出来事が起きて面白くなる」と明かすアモス・ウィー。劇中ではハウが自ら開発したアプリのAIと対話しながら、遠距離に住む女性を訪ね歩くが、それについては「香港人でさえも知らない土地が出てくるので、地図をずっと画面に表示させたいところだけど、そうすると(美的に)どうなの?と思い、アプリで対話する設定にして、今どこに行っているのかわかりやすくしました」と説明した。
大学で6年間にわたって教えた経験も持つ彼は、若者の恋愛事情にできるだけリアリティを持たせたかったとも語る。また“男性に都合のいい女性”ばかりを登場させないこだわりもあったそうで、「多くの香港映画を観ると、女性が主役ではあっても実際には脇役、あるいは花瓶のような存在。男性に従属するような立場か、非常に弱々しく描かれています」と切り出す。「でも、今の香港は男女平等が進んでいます。ひょっとしたら日本よりもかなり進んでいる。それなのに、映画の中でどうして女性がこのように描かれているのか。もしかすると、今の香港映画界も男性主導……つまり男性の視点で作られた映画が多いんです。だから僕はこのあたりを少し変えようかなと思っています」と強い意思を示した。
翌21日には「私のプリンス・エドワード」の監督を務めた
ちょうど30歳の頃に脚本を書き始めたというノリス・ウォンは「周りの人がどんどん結婚し、母親や友達に『そろそろボーイフレンドと結婚したら?』などと聞かれる状況がありました」と述懐。また、ちょうど家の向かい側がゴールデンプラザで、ここを舞台に何か映画を撮りたいと考えていたことや、中国からやって来た大学の同級生が偽装結婚をしたことがあったなど、身の回りのエピソードを取り入れて物語を発展させていったと振り返る。
制作にあたってのリサーチにも言及し、「2017年、2018年頃はインターネットで検索すると偽装結婚に関する広告や記事が多く出てきましたが、2020年以降は、中国の人たちが偽装結婚という手段を用いなくても、ほかにいろいろな方法が出てきたため、傾向が若干少なくなっていると思います」と話した。ラストシーンについては「最後、主人公がスマホを操作する手は、実は私の手なんです」と打ち明け、撮影中に「結婚という制度そのものが悪いわけではない」と考え直したことを認めながら、女性が自らの手で選択をし、何かを実現することの重要性を描きたかったと力説した。
「縁路はるばる」と「私のプリンス・エドワード」は新宿武蔵野館で上映中。
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金都も緣路山旮旯もあちこちで繰り返し上映されますように。
こういう(アクションでもノワールでもない)普通の日常を描いた香港映画も、また色々と公開されますように。
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