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河林満の同名小説を映画化した本作。日照り続きの夏、料金を滞納する家庭を訪ねて“停水執行”をする水道局員・岩切俊作と、二人きりで家に取り残された幼い姉妹の姿が描かれる。岩切を生田、姉妹の姉・小出恵子を山崎、妹・久美子を柚穂が演じた。また姉妹の母親・有希に門脇、岩切の同僚・木田拓次に磯村、息子を連れ実家に帰ったきり戻ってこない岩切の妻・和美に尾野が扮する。
製作経緯を尋ねられた高橋は「原作は1990年のものです。当時はバブル期で日本中が裕福だったんですが、本ではその裏にある格差や貧困を書いていた。そこから30年経っても、まだその格差がなくなっていないことに深い思いを抱いて映画にしたいと思ったんです」と説明。今作で初めてプロデューサーを務めた白石も「この素晴らしい脚本を映像化できないのはもったいないなと思ったんです」「高橋さんは実直な方で、粘り強くこの脚本を映画化しようとしているというのは聞いていました。2017・18年くらいに脚本を読んだときに初めて監督とお会いして『間違いない、やりたい』という思いが募りました」と語る。
撮影を振り返った生田は「姉妹役の2人には脚本が渡されていなくて、当日にセリフを口伝えする方法が取られていました。だから(撮影が始まると)突然僕と磯村勇斗くんがやって来て『水道止めます』という感じで。状況がわからない、そのリアルな生々しいお芝居が求められていたんだと思います。だから彼女たちのシーンが浮かないよう、全体としても生っぽいお芝居が求められていたと感じます」と述べた。さらに高橋と白石からあるお達しが出ていたそうで、「いろんなお話をしたかったのですが、監督とプロデューサーが『(役柄上)あの子たちとはしゃべっちゃダメ』って罪なことを言うんです。でも2人はそのことを知らないから、学校でこういうことがあってとか宿題がとか話しかけてくる。でも僕はただ『……そうなんだ!』と。しゃべれなくて、心苦しかったです」と冗談めかしながら胸中を明かす。それを聞いた山崎は「私は人見知りすぎて話せない部分があったので、どう皆さんと関係を作ればいいのかわからずにいました。役柄のうえではそれでよかったのかなと」と冷静に分析する。
門脇は「最後まで役がつかめなかったです」と困り顔を見せながら、「(山崎と柚穂の)2人が日々姉妹のように仲良くなって、現場でも二人きりでいた」「姉妹が遊んでいるシーンで、小さい背中が夏の日差しに照らされている様子を見ると胸が苦しかったですね」と言い、「大きくなったね」と山崎と柚穂に優しく声をかけた。続く磯村が「生田さんとは趣味の話をしたりして、ちょっとずつお互いジャブを打って様子を見ていた」「生田さんとの社用車のシーンは印象深いです」と話すと、生田は「車内は狭いから、近くにいざるを得ない。なので運転席の磯村くんと、助手席の僕でたわいもない話をしましたね。暑かったよね」と楽しげに回想した。
そして磯村が「撮影は雨の日が多かったんです。唯一晴れたのが社用車の撮影のときっていうくらい」と口にすると、登壇者たちは“生田は雨男”という話題で盛り上がる。生田が「いつになったら雨が降るの?という作品なのにね。『雨の原因は生田斗真だったんじゃないの』とさっき舞台袖で詰められたんですよ」と言うと、門脇は「撮影ができなくて家とロケ地を3往復したこともありましたよ。ロケ地が群馬だったので大変でした」とふざけながら不満を漏らす。尾野は「本物(の雨男)だね……」とぼそっとこぼして、生田から「せめてマイクを通して言って!」と嘆かれていた。
トークテーマは姉妹役への演出法に戻り、高橋は「あらかじめいろんなことをインプットしてしまうと、ああもしたいこうもしたいと思ってしまうかもしれないなと。人生は一歩先、1日先のことは何もわからない。そういう気分を体感して演じてほしいと思ったんです」と意図を説明。山崎が「初めてなので、何をどうすればいいのかわからなかった」と振り返った一方、柚穂は「間違えることもあったけど、みんなが優しくサポートしてくれたのでうまくいきました」とにこにこ笑顔を見せる。役の関係上、ほかのキャストと山崎たちがコミュニケーションをなかなか取れなかったことも踏まえて、尾野は「今回の経験が、財産になると思う。今後この子たちにとって大きなものになるんじゃないかなと思います」とエールを送った。
2人は撮影期間中にてるてる坊主を作って高橋に渡したそうで、実物を高橋がうれしそうに披露するシーンも。なお、それを見た生田は「俺の雨男パワーがゴリゴリに勝っちゃってごめんね」と謝っていた。
「渇水」は6月2日に全国で公開。
※山崎七海の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記
※高橋正弥の高は、はしごだかが正式表記
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生田斗真が「渇水」撮影で雨を降らせまくる、子役たちのてるてる坊主も歯が立たず https://t.co/QpCwyFJWxm
原作:河林満『渇水』角川文庫