家庭環境、性的指向、容姿など、さまざまな“選べない”背景を持つ人々を同じ地平で描写しながら、人間が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマをあぶり出していく「正欲」。息子が不登校になった検事・寺井啓喜を稲垣、特殊性癖を持つことを隠して生きる桐生夏月を新垣が演じる。「あゝ、荒野」の
磯村は、両親の事故死をきっかけに中学3年まで暮らしていた広島に戻ってきた佐々木佳道役で出演。佳道と夏月は中学時代の同級生で、誰にも言えない秘密を共有している。佐藤が演じたのは、大学生でダンスサークルに身を置き、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也。一見華やかな場所にいるように見えながら、人との交流を避ける青年だ。東野は大也と同じ大学に通い、彼が所属するダンスサークルにイベント出演依頼をする学祭実行委員・神戸八重子に扮した。八重子は通学中や講義中も、異性と目を合わさぬよう、触れることがないようにやり過ごそうとする。
磯村は「自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体に馴染ませるのが難しかったです」、佐藤は「自分の身体の目に見えるところに傷をつけられたような、今後一生自分が向き合っていくことになるものだと気づかされた。というか知らされた、知らしめられたという感覚でした」と本作についてコメント。映画初出演を果たした東野は「原作を読んだ時に感じた、喉の奥に広がる苦さが逃げないよう、丁寧に撮影を重ねて挑みました」と振り返った。
「正欲」は今秋に全国で公開。
磯村勇斗 コメント
今回の作品では、自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体に馴染ませるのが難しかったです。
ですが「前科者」でご一緒させていただいた岸監督とだったので、信頼しながら作り上げていきました。
クランクイン前や現場で監督と話し合い、丁寧に佐々木佳道に寄り添っていきました。
難しい題材ではあるものの、今の時代に問う作品になっていると思います。
佐藤寛太 コメント
自分の身体の目に見えるところに傷をつけられたような、
今後一生自分が向き合っていくことになるものだと気づかされた。
というか知らされた、知らしめられたという感覚でした。
準備期間前に自分が当たり前だと思っていた価値観が崩れる不思議な体験でした。
杭を一本一本打ちながら登っていく力強さを大也に感じたから、
それは誰にでもあるものじゃないから、勇気をもらうじゃないけど、
今までにない感じ方をした役柄でした。
岸監督の演出のなにがすごいって、遠回りをさせてくれる。
簡単に答えを出さないから、遠回りして見た景色を現場の本番というゴールに来た時に
もうひとつ昇華させてくれる、一緒に考えてくれる。
欲しい言葉をくれるというのもあるけど、絶えず考えさせてくれるし、
信頼してくれてるのがすごく分かるから、気張るという意味ではなく、応えたいと思うし、
この監督が創る作品のなかで、重要なピースでいたい。と気持ちよく思わせてくれる。
今回ご一緒させていただいて、ここに呼ばれるように自分を削っておきたいな、と思いました。
どこかでまあこれでいいかと思わず、ずっと削っておきたいです。
こんな組に携われることはなかなか無いから、ここでできることは全部出しときたいな、
この作品、この役に悔いを残したく無いな。と思いました。
この映画観てくれたひとがみんな傷つけばいいのに、
傷ついてハッとして人にやさしくなればいいのにって思います。
東野絢香 コメント
原作を読んだ時に感じた、喉の奥に広がる苦さが逃げないよう、丁寧に撮影を重ねて挑みました。
全てを愛する事は、難しいです。
ですが、あの日、カメラの前に立ったあの瞬間は、心からなにかを愛せたと思います。
1秒1秒がスローモーションに感じたあの時間や空間を、私は生涯忘れません。
この作品が、誰かにとっても、そう記憶される映画になればと、万感の思いでいっぱいです。
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