第16回アジア・フィルム・アワードの候補作を特別上映する企画・Asian Cineramaが香港で開催中。監督賞にノミネートされた「
本作では、自らの手で育てられない赤ん坊を匿名で預けられる“赤ちゃんポスト”をきっかけに出会った人々の旅路が描かれる。裏稼業として赤ん坊を高く売る“ベイビーブローカー”のサンヒョンとドンスをソン・ガンホとカン・ドンウォン、赤ん坊をポストに置いていった女ソヨンをイ・ジウン、彼らを追う2人の刑事をペ・ドゥナとイ・ジュヨンが演じた。
本編上映後に登場した是枝が「コロナ禍は完全には収まっていないですが、映画ファンの方たちと作り手の交流が復活しつつあることをうれしく思っています」と挨拶すると、観客から拍手が起こる。彼は「観終わったあとに、映画に登場した人間たちがまたどこかで生活を続けている(と感じられる)終わり方をいつも目指しています。1人の赤ちゃんの幸せを考える輪の中に、観客の皆さんも参加してもらえればと思い、選んだ結末でした」と、役者たちとともに作り上げた作品のエンディングについて述べた。
Q&Aセッションの時間には観客から「赤ちゃんにどう演技をさせたのですか?」という質問が飛んだ。是枝は「コロナ禍で直接会ってオーディションができなかったので、産まれて1カ月ぐらいの赤ちゃんの動画を10人ぐらいに送ってもらって決めたので、本当に賭けだった」とキャスティング方法について明かし「(選んだ子は)周りの人が声を掛けるとすごく反応が良かった。耳がいい子だなと思ったので、それだけを頼りに決めました」と述懐する。さらに撮影現場で赤ん坊がソン・ガンホの動きを目で追ったことや、イ・ジウンの髪の毛に自分から触ったことを回想し「もちろん僕が指示できるわけではないので、求めている以上のことをしてくれたのは本当に感謝しています」と伝えた。
「監督の作品が大好きです!」と話すファンから「“悪人だけど完全な悪人じゃない”という描き方は、どのように考えていったのですか?」と聞かれた際には「そうね~…」と考え込む是枝。彼は「今回で言うと、赤ん坊を捨てに来た若い母親に対して、ペ・ドゥナ演じる刑事が『捨てるなら産むなよ』というある種の偏見や先入観を持って言葉をぶつけます。その1人の刑事の価値観が、2時間の映画を通して自然な形で変わることがストーリーの軸になるようにしました」と回答した。
第16回アジア・フィルム・アワードの授賞式は、日本時間の本日3月12日に香港・香港故宮文化博物館で開催。なお「ベイビー・ブローカー」は監督賞のほか、イ・ジウンが新人賞にノミネートされている。
是枝裕和の映画作品
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