「ハケンアニメ!」「LOVE LIFE」がTAMA映画賞最優秀賞に、新進監督賞は片山慎三と森井勇佑

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第14回TAMA映画賞の授賞式が本日11月26日に東京・パルテノン多摩で開催。最優秀作品賞を受賞した「LOVE LIFE」の監督・深田晃司、「ハケンアニメ!」の監督・吉野耕平らが登壇した。

第14回TAMA映画賞授賞式の様子。

第14回TAMA映画賞授賞式の様子。

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最優秀女優賞・男優賞を受賞した俳優陣。左から広瀬すず、松坂桃李、倍賞千恵子、佐藤二朗。

最優秀女優賞・男優賞を受賞した俳優陣。左から広瀬すず、松坂桃李、倍賞千恵子、佐藤二朗。[拡大]

前年10月から当年9月にかけて劇場公開された作品および監督、キャスト、スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考を行うTAMA映画賞。映画ナタリーでは最優秀男優賞、最優秀女優賞、最優秀新進男優賞、最優秀新進女優賞の受賞者たちのレポートも掲載している。

「ハケンアニメ!」 (c)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

「ハケンアニメ!」 (c)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会[拡大]

吉野耕平

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辻村深月による同名小説を映画化した「ハケンアニメ!」は、もっとも成功したアニメの称号=「ハケン(覇権)」を手にすべく奮闘する者たちの姿を描く“お仕事ムービー”。劇中用に実際に2つのアニメが制作されており、吉野は「この作品はエンドロールが非常に長くて。映画1作とアニメ2作分のスタッフが関わっているからです。スタッフ・キャスト一同を対象にした最優秀作品賞をいただけて、すごくうれしく思います」と話す。また敬愛する押井守の「監督にとっての勝利とは次の現場をもらえること」という言葉を紹介し「次の作品を続けられるように、(自分に)作ってほしいと言ってくれる人が現れるように、監督として、演出家として長く現場にいられるようにがんばりたい」と抱負を語った。

「LOVE LIFE」 (c)2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS

「LOVE LIFE」 (c)2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS[拡大]

深田が監督した「LOVE LIFE」は、矢野顕子の同名楽曲をモチーフに、愛と人生に向き合う夫婦の物語。木村文乃が主人公の妙子、永山絢斗が妙子の夫・二郎、砂田アトムが妙子の元夫でろう者のパクを演じた。深田は「本当に素晴らしいスタッフ、俳優さんに支えられて作られた映画。皆さんに感謝したい。この映画を作ることを快諾し、曲も使用させていただいた矢野顕子さんにも感謝したい」と話す。

深田晃司

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司会とのトークの中で手話によるコミュニケーションについて話が及ぶと、「あるときから妙子と元夫の間に、今の夫にはわからない共通の言語を持たせたいと考えていました。そのとき東京国際ろう映画祭のワークショップの講師という依頼をいただいた。受講生は皆さん、ろうの方で」と述懐。手話の言語としての豊かさや空間を使った映像的な言語である点に惹かれながら、自分自身に対して「これまで何本も長編映画を作っていながら、なぜ1人もろう者が出てこないのか」という問いを突きつけられたという。「あるべきはずの問い。当たり前にろう者がいる世界に住んでいながら、自分の映画には出てこない。そういうことを考えながら元夫をろう者にしようと思った。実際にろう者である砂田アトムさんが素晴らしい方で、現場はとても楽しかった」と振り返った。

左から伊東蒼、佐藤二朗、片山慎三。

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森井勇佑

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佐藤二朗と伊東蒼が共演した「さがす」で最優秀新進監督賞を獲得した片山慎三は「今年の1月と早い時期に公開して、忘れられているのでは?と思っていた。覚えていただき、選んでもらってありがたいです」と喜び、今後に関して「映画ではないんですが、監督したドラマ『ガンニバル』が年末にディズニープラスで配信されます。また来年も映画を撮ります」と報告。同じく最優秀新進監督賞に輝いた「こちらあみ子」の森井勇佑は「今まで生きてきて表彰されたことがなかった。初めてのことでうれしいです。去年の夏、みんなと遊びながら作ったような楽しい現場。その記憶が皆さんに評価していただけたことがとてもうれしいです」と話した。

「メタモルフォーゼの縁側」 (c)2022「メタモルフォーゼの縁側」製作委員会

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左から宮本信子、狩山俊輔。

左から宮本信子、狩山俊輔。[拡大]

映画ファンを魅了した事象を表彰する特別賞に輝く「メタモルフォーゼの縁側」からは宮本信子と監督の狩山俊輔が出席。人付き合いの苦手な女子高生うららと孤独な老婦人・雪がBLマンガを通して交流するさまを描いた同作について、宮本は「最初はおとぎ話みたいな話かと思ったら、そうではなくて1冊の本から友情が芽生えて距離が縮まる。こういう関係って本当に素敵。誰かと『話す』ということがどれくらい大事か。雪にとっては、うららに出会えて華やかで豊かな張りのある生活ができた。本当に素晴らしい出会いを描いています」と魅力を語った。

「恋は光」 (c)秋★枝/集英社・2022 映画「恋は光」製作委員会

「恋は光」 (c)秋★枝/集英社・2022 映画「恋は光」製作委員会[拡大]

左から伊東蒼、小林啓一。

左から伊東蒼、小林啓一。[拡大]

同じく特別賞に輝いた「恋は光」の監督・小林啓一は、「恋は光」に出演し、最優秀新進女優賞を受賞した伊東蒼と壇上でトーク。主人公と同じく“恋をしている女性が光を放ってキラキラして見える”特異体質の女子高生・大洲央を演じた伊東が「原作を読んだときから央ちゃんがかわいらしくて、小動物のような印象を受けました。常に“ハッピー”を頭に置いて小動物を意識してました」と振り返ると、小林は「もう最高でした。最高の小動物でした」と称賛。また小林は最後に「少しでも長く、1本でも多く映画を撮れるように精進していきたい」と意気込みを語った。

そのほかの受賞結果は下記の通り。

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第14回TAMA映画賞 受賞結果

最優秀作品賞

LOVE LIFE」(深田晃司およびスタッフ・キャスト一同)
ハケンアニメ!」(吉野耕平およびスタッフ・キャスト一同)

特別賞

芦田愛菜、宮本信子およびスタッフ・キャスト一同「メタモルフォーゼの縁側
小林啓一およびスタッフ・キャスト一同「恋は光

最優秀男優賞

佐藤二朗「さがす」「truth ~姦しき弔いの果て~」「バイオレンスアクション」
松坂桃李「流浪の月」

最優秀女優賞

倍賞千恵子「PLAN 75」
広瀬すず「流浪の月」

最優秀新進監督賞

片山慎三「さがす」
森井勇佑こちらあみ子

最優秀新進男優賞

磯村勇斗「ビリーバーズ」「PLAN 75」「異動辞令は音楽隊!」「さかなのこ」「前科者」「彼女が好きなものは」ほか
横浜流星「流浪の月」「アキラとあきら」「嘘喰い」「あなたの番です 劇場版」「DIVOC-12」

最優秀新進女優賞

河合優実「PLAN 75」「愛なのに」「ちょっと思い出しただけ」「女子高生に殺されたい」「百花」「冬薔薇」ほか
伊東蒼「さがす」「恋は光」「《MIRRORLIAR FILMS Season4》」

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読者の反応

深田晃司 @fukada80

#TAMA映画賞 『LOVE LIFE』授賞式、無事に終了しました。錚々たる受賞者の皆さんとご一緒できて恐縮でした。ありがとうございました。
授賞式のレポートです。
https://t.co/uQYXjbFZHV

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