埼玉県唯一の村として知られる、東秩父村に移り住む若者たちを追ったドキュメンタリー「
秩父盆地から山を隔てた東側に位置し、総面積の8割が山林という自然豊かな東秩父村。過疎化が進み、県内の消滅可能性都市ランキングで1位に選ばれたこともある。しかし、近年、都会暮らしを辞めて村に移り住む若者たちが増え始めているという。本作では、故郷を消滅させたくないという思いで東秩父に戻ってきた女性、地域起こし協力隊に応募して採用された東京出身の元銀行員、和紙職人を目指す青年、東秩父村の合宿所で共同生活を送る鬼太鼓座の若者たちなど、村の営みを未来に残そうと活動する人々の姿が捉えられる。
監督を務めたのは、「お百姓さんになりたい」「食の安全を守る人々」など農業をテーマにドキュメンタリー映画を撮り続ける
原村政樹 コメント
1985年以来、40年近く、農業をライフワークに作品を創り続けてきました。埼玉県で唯ひとつの村となった東秩父村でIターン、Uターンした若者たちが村のお年寄りたちと共に、村の貴重な暮らしの営みを未来に残そうと活動をしている日々の撮影を2019年5月から3年間続けてきました。
3年に及ぶ撮影で50日余り、その他、打合せなどで東秩父村を訪れた日数を含めると100日を超えました。そこで発見したことは驚きの連続でした。恐らくこれだけの時間をかけなければ決して見えない山里に暮らす人々の深い精神性に触れたのだと思います。
東京一極集中に代表される大都市への人口過密が、コロナ禍に象徴されるように、膨大な弊害が顕著に現れています。2040年までに過疎地の市町村の約半数が消滅するとの試算さえあります。山里の自然は、水や空気など、街に暮らす私たちにとっても大切な場所。そこに人が住まなくなれば、貴重な自然環境は荒廃してしまいます。この映画を制作しようと思い立ったのは、そうならないために、山里に暮らす若者が増えて欲しいと願ったからです。その想いを込めてタイトルは「若者は山里をめざす」としました。
村上龍 コメント
「若者(青年)は荒野をめざす」という本があった。1960年代だ。呑気な時代だったのだと思う。荒野というのはどこで何を指すのか。いずれにしろリアリティがゼロだ。「若者は山里をめざす」、こちらはリアルにあふれている。若者が触れたものが明確に示される。触れたものへの感動が伝わってくる。太古の昔から、わたしたちはそうやって何かと出会ってきたのだ。
原村政樹の映画作品
リンク
新米秩父人 @makino51dx
埼玉県内唯一の村・東秩父のドキュメンタリー「若者は山里をめざす」1月公開(コメントあり) https://t.co/jf3AKEXtgZ