消えゆく町のシンボル、浦安魚市場の日常を記録したドキュメンタリー公開

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映像作家・歌川達人が手がけた長編ドキュメンタリー「浦安魚市場のこと」が、12月中旬より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。

「浦安魚市場のこと」ポスタービジュアル

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「浦安魚市場のこと」

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2019年3月末に閉場した千葉・浦安魚市場。工場汚染水の影響で漁業権を放棄し埋立地となった浦安にとって、魚市場は古くから漁村だった町のシンボルでもあった。本作では、消えゆく“まち”のシンボルと、そこに生きる人々の日常をカメラが記録。昼は町の魚屋、夜はロックバンド・漁港のボーカルとして活動する森田釣竿も姿を見せる。

「浦安魚市場のこと」

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これまで主にカンボジアで短編中編のドキュメンタリーを制作してきた歌川にとって、本作が自身初の長編作品に。撮影期間中は浦安魚市場近くへ移り住み、緻密な撮影を重ねた。本プロジェクトでは、映画製作に限らず、写真集作成や魚市場内での映像インスタレーション展示なども行っている。歌川は「日本の浦安という、ローカルな場で記録された時が、映画として、遠くへ旅立ち、誰かに届く。そこで、顔も知らない誰かと共鳴する、あるいは議論される。コロナ禍で、場のあり様や働くことを再考せざるを得ない時期に、そういった営みがどこかで生まれることを願う」と語った。

また本作を鑑賞した映画監督の纐纈あや、映像作家の小森はるかからコメントが到着。纐纈は「僕たちもがんばっているから、お客さんもがんばってほしい、ある魚屋さんの涙に滲む言葉を確かに受け取った」と感想をつづり、小森も「最後だけが特別なわけじゃない。だからこそ最後を丁寧に描く大切さを教わった」と称賛している。コメント全文は以下に掲載した。

纐纈あや(映画監督)コメント

氷の上に陳列されたピッチピチの魚たち。一本一本炙られて甘ダレに浸されるハマグリの串。威勢のいいかけ声。
その光景ひとつひとつに心が踊る。魚屋さんは魚を売っているだけじゃない。この魚、おいしいよ!という気合いと手業が込められる。物を介して、思いや会話、いたわりや笑顔が行き交う場所。その市場をまた失ってしまった。僕たちもがんばっているから、お客さんもがんばってほしい、ある魚屋さんの涙に滲む言葉を確かに受け取った。

小森はるか(映像作家)コメント

いつもと同じように始まり、いつもとは違う終わりを迎える、最後の日。
それぞれの目に込み上げた涙や送られる拍手を、誇張せず、省略もせずに見せてくれた。
この一日の長さをどう見せるかに、作り手の思いを受け取る。
最後だけが特別なわけじゃない。
だからこそ最後を丁寧に描く大切さを教わった。
それが終わらせないための記録になると。

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