明日9月16日、東京・菊川に新しい映画館・Stranger(ストレンジャー)が開業。本日9月15日に内覧会が行われた。
「現代的にアップデートされた映画鑑賞体験を生み出すこと」をテーマに掲げた同館では、「映画を知る」「映画を観る」「映画を論じる」「映画を語り合う」「映画で繋がる」という5つの体験を提供することを目指す。劇場は1スクリーンで、席数は49。スタッフによると、目線の高さでスクリーンを見たい場合はD列がお薦めだそう。劇場の椅子は仏キネット・ギャレイ製で、閉館した新潟・十日町シネマパラダイスで使用されていたものを譲り受けた。なお東京・青梅の映画館シネマネコも同じく十日町シネマパラダイスから引き継いだ椅子を使用しているという。
劇場スピーカーは山形・鶴岡まちなかキネマに置かれていたものを使用しており、効果音専門のウーハーも導入された。Stranger代表・岡村忠征は「劇場の音響は吸音が肝。アテネ・フランセ文化センターの堀三郎さんが吸音材の使い方にこだわってセッティングしてくれました。スピーカーはスクリーン脇には置かずに、スクリーン裏にすべて仕込んでいます」と伝える。劇場に足を踏み入れると、豊かな低音と包まれるようなサウンドを体験することができた。
またスクリーンをできるだけ大きく取ろうと思案した岡村からは「スクリーンを10cm高くするために(天井近くの)下水管の位置を変える工事もしました」という苦労話も。幕サイズは横4.2m、縦1.5mで、席数あたりの大きさとしては上々だと話した。物件探しも紆余曲折あり、天井の高さや興行場法などに鑑みながら、現在の地に落ち着いたという。なお館内にはカフェ空間があり、コーヒー豆はSHIKISHIMA COFFEE FACTORYから仕入れたものを使用している。
Strangerでは9月16日より「特集:J=L・ゴダール 80/90年代 セレクション」が開催される。編成について岡村は「方向性は3つです。1つ目は作家主義的な特集上映、2つ目は日本での上映権が切れていたり未公開である作品を調達しての上映、3つ目は見逃した新作の上映。今回のジャン=リュック・ゴダール特集は1と2のハイブリッドですね。次に予定している『アンチヴァイラル』はブランドン・クローネンバーグの長編デビュー作で、方向性で言うと2つ目に当たります」と説明。オープニングにゴダール作品を選んだ理由については「18歳で『気狂いピエロ』を観て鮮烈な印象を受けて、映画を志すきっかけになりました。なのでこけら落としは絶対にゴダールにしようと思ったんです。彼の1960年代作品のリバイバル上映はわりと頻繁にあるんですが、今回のような1980年代の作品は配信もされていなくて、観る機会が少ない。この時期のゴダールは音響と映像へのこだわりが強く実験的で、映画館で観るのにふさわしいと思って買い付けました」と述べた。
岡村は「僕がやろうとしているのは、既存ではない“新しい映画館”。東京の東側には映画館が少ないので、場所も含めて新しくやろうと思いました。僕たちのところをわざわざ目指して来てくれる感度の高い人たちにタッチできるような発信ができればと。東エリアで、文化の発信拠点になれたらと考えています」と意気込みを語った。
クラウドファンディングサイト・MotionGalleryでは同館の支援を受付中。集まった資金は作品調達の費用として活用される。
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目黒シネマ @megurocinema
本日Strangerさまの内覧会にお邪魔して参りました。綺麗な館内、座りやすい椅子、美味しいコーヒー…とっても素敵な場所でした😍
都営新宿線菊川駅A4出口からわずか30秒という超絶好立地…!そしてオープニングは「特集:J=L・ゴダール 80/90年代 セレクション」!
今後ともよろしくお願いします! https://t.co/JfXjBx4CZJ