スピルバーグが自身の子供時代をモデルに、映画作りにのめり込む主人公サミー・ファベルマンと家族の関わりを描いた本作。舞台は第2次世界大戦後の米アリゾナ州だ。スピルバーグが映画に興味を持った原体験がフィクションを通して紡がれる。公式の紹介では「20世紀アメリカの子供時代を描いたとても個人的な肖像。ある青年が深刻な家族の秘密を知ってしまう青春物語であり、映画の力が私たちに、互いの、そして自分自身の真実を見せることを探求している作品」と記されている。
商業デビュー以降、数ある長編監督作の中でも、スピルバーグが脚本にクレジットされるのは「未知との遭遇」「A.I.」に続く21年ぶり3回目。「ミュンヘン」「リンカーン」「ウエスト・サイド・ストーリー」を手がけたトニー・クシュナーと共同で脚本を執筆しており、スピルバーグは「トニーは私のセラピストのような役割を果たしてくれた」と語っている。
サミーの青年期を「ザ・プレデター」のガブリエル・ラベル、幼年期を子役のマテオ・ゾリオン・フランシス=デフォードが演じ、「ヴェノム」の
予告にはサミーがおもちゃの列車を使って映画を撮る様子や、家族と一緒に映画館で1952年の「地上最大のショウ」を鑑賞する場面も。映画監督を目指すサミーは、やがて家族の問題に直面していく。なお2018年に来日していたスピルバーグは、映画監督を志したきっかけを聞かれ「子供の頃は自由じゃなかった。12歳の頃に父親の8mmカメラを見つけてからは、どうにもならない現実でもカメラを通せばうまく見られることに気付いた」「映画であれば現実には起こり得ないことも表現できることがわかった。そしておもちゃの列車を衝突させ、それを撮影して遊んでいた」と映画作りの原点を語っていた。
「The Fabelmans」はカナダ現地時間9月11日にトロント国際映画祭でワールドプレミア。IndieWireの報道によれば、映画祭での上映をスルーすることの多いスピルバーグの新作が、賞レースの行方を占うトロントで初披露されたのは、アカデミー賞に向けて強力なキャンペーンを展開することを示唆しているという。
「The Fabelmans」は11月にアメリカの一部劇場で公開。感謝祭の時期に全米で封切られる。映画の公式Twitterアカウントではポスタービジュアルも公開中だ。日本公開は未定のため続報を待とう。
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スピルバーグ半自伝映画の初映像が公開、おもちゃの列車で映画作り https://t.co/1HsgUACJDH