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荻上が自身の小説を映画化した本作では、川べりの古いアパート“ハイツムコリッタ”に引っ越してきた孤独な男・山田が、さまざまな事情を抱えた住人たちと交流するさまが描かれる。山田を松山、距離感が近い隣人・島田をムロ、夫に先立たれた大家・南を満島、墓石販売員の溝口を吉岡が演じた。
舞台挨拶では、荻上のユニークなエピソードがキャスト陣から続々と飛び出す。松山は「ビールを飲むシーンがけっこうあって。山田は久々に飲むわけだから『あー!』っておいしそうにやったら、監督が『ビールってもっとうまくないですか?』と。ご飯をよそうシーンでも『もっと盛りますよね?』とか。事細かな演出はありませんでしたが、口に入るものにはものすごくこだわりがある監督でした」と述懐。ムロは撮影前に荻上から「そのチャーミングさはいらない」と言われたことを振り返り、「役者としての考え方を変えてもらいました。40歳を超えてそれなりにやってきたところはあったけど、『今までのムロツヨシを捨ててください』とはっきり言われることはないと思っていたので。とてつもなく厳しい言い方のときもありました(笑)。本当に人生の天敵。僕の役者人生は“荻上後・荻上前”で変わります」と熱く話す。
すると松山は撮影の合間にムロと蕎麦屋に行った際、店員からサインを求められ、ムロが「川っぺりム“ロ”リッタ」と色紙に書いていたことをバラす。「“ムロツヨシ”と書くことが多いから“ム”のあと“コ”に縦線入れちゃったんでしょうね」と言い訳するムロをよそに、松山は「そのことを監督に教えたら『ムロツヨシー!』って鬼の形相で怒ってて面白かったです(笑)」とさらに説明して、共演者たちを笑わせた。
続いて満島は「一緒に食事に行ったとき『本当に変わった女だな』と思って。そしたら荻上さんにも『お前のほうが変わった女だよ』と言われました」と明かし、2人の間にある信頼関係をのぞかせる。吉岡は「僕は監督と食事したこともないし、ムロさんと松山さんがお蕎麦に行くのも後ろで見届けていました」とうらやましがりつつ、「荻上監督は悟りの先にある怒りのようなものを感じます。だからとても怖いです(笑)」と尊敬を交えながら口にした。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う公開延期を経て、ようやく劇場公開を迎えられる本作。最後に松山は「自分自身を救うには、自分1人だと限界がある。主人公の山田も同じで、最初は周囲のお節介だったかもしれないけど、そういう人たちがセーフティネットになることがあると思います。皆さんの周りをもう一度見回したら、見えてなかったものが1つぐらいはあるかもしれません」と呼びかける。荻上は「死や遺骨をテーマにしていますが、ユーモアもたくさん入れているので。笑っていい映画です」と明るく語った。
「川っぺりムコリッタ」は9月16日に全国で公開。
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Premiere screening event of new movie "Kawapperi Mukoritta" at Shinjuku Picadilly on 30 Aug 2022 - Matsuyama Kenichi, Muro Tsuyoshi, Mitsushima Hikari & Yoshioka Hidetaka; showing from 16 Sep 2022
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