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川村が自身の小説を自ら映画化した本作は、記憶を失っていく母と、思い出をよみがえらせていく息子の物語。菅田が息子の葛西泉、原田が母の葛西百合子を演じ、泉の妻・葛西香織に長澤、百合子の秘密を知る男・浅葉洋平に永瀬が扮している。
川村は観客を前に「小説を書くところから始めて取材から数えると7年ほど。ようやくここまでたどり着いたので感慨深い。この7年間で映像の見られ方が急激に変わった。スクリーンに集中して観てもらえるのが映画館の醍醐味、没入して観ていただけるように作りました」と挨拶。初監督については「現場ではとにかく新人。原田さんから怒られたり、菅田くんに言うこと聞いてもらえなかったり(笑)。つらい思い出もありました」と笑い混じりに明かした。
菅田は「原田さんのお芝居や人間力を受ける日々。すごくぜいたくな時間でした」と述懐。初共演の原田について「とあるシーンでカットがかかった瞬間、僕の胸で号泣されて。嗚咽が止まらなくて、気付いたら、僕が頭をなでていて(笑)。大先輩が泣きじゃくる姿。こんなピュアな状態を見せてもらえたのは、とても忘れられないです」と明かす。原田も「本当に大変で、全然OKが出ず、どうしたらいいかわからなくて。最後に監督がOKを言った瞬間に涙が止まらなくなってしまった。そしたら菅田さんが『よしよしよし』って。まるでお母さんが子供をなだめるみたいに(笑)。忘れられない思い出です」と振り返った。
これは諏訪湖で百合子が浴衣のまま湖に入るシーンだったそうで、原田は「監督の要求することに気が遠くなりそうになって。でもふっと夜空を見上げたら、溝口健二さんや黒澤明監督、増村保造監督が現場を見ているような気がして。そう思ったら勇気が出て、OKもらえてうれしかった」と回想。川村は何度もNGを出した理由を「僕がちょっと欲張り」と切り出しつつ「百合子は夢うつつを行ったり来たりする人。回路が入ったり切れたりするところを待っていた。湖のシーンは原田さんが向こう岸に行ってしまうのか戻ってくるのか、最後の最後ですごいゆらぎが出ていました」と明かした。なお撮影のために用意されていた7着の浴衣もすべて使いきったという。
長澤は3回目となる菅田との共演について「初めて会ったときよりもすごくたくましくなっていて、この人なら付いていけるという風格がありました」と述べつつ、香織の人物像について「香織はこんな人いるの?というぐらい優しい人。この夫婦はちょっと変わっていて、香織は親子の間にいる他人なのに、意外と親子をつなぐ役割。そんな大変な中でも優しくいる。監督から言われた『優しい人なんです』という言葉を信じて演じました」と回想。ピアノ教師の百合子を演じた原田同様にピアノの練習をしてから撮影に臨んだという永瀬は「あるとき原田さんが練習している音が聞こえてきて心底『ヤバい』と思いました。かなりお上手でした。台本にも書かれているんですが、多くの撮影がワンシーンワンカット。ミスができない、一発一発が真剣勝負。もっと、ちゃんと教えてもらえばよかった」と本作への心残りを打ち明けた。
記憶がテーマの本作にちなみ、忘れられない出来事や思い出について話が及ぶと、原田は認知症になった母親のある言葉を紹介。「入院していた母が、あるとき『私、15のときから女優やってんの』と言ったんですよ。母は女優をやったことがなくて、15のときから女優やってるのは私なんですね。本当に自然に私のことを自分ごとのように語ったんです。母の人生が私の人生にすり替わってる瞬間がとても不思議で、それをきっかけに母は本当は何を考えていたんだろう?と思って『女優 原田ヒサ子』というドキュメンタリーを撮ったんです」と明かす。「百花」は川村の祖母の話がベースになっており、原田は「私の中には母への思いもあって。1人の女の人が生きていく中で何を一番強く思ってきたのかなと想像しながら作品に入っていきました」と続けた。なお「女優 原田ヒサ子」は8月20日からNetflixで独占配信されることが原田の口から明かされた。
「百花」は9月9日より全国ロードショー。
禅 @zen0602
菅田将暉が号泣する原田美枝子の頭をなでた理由とは、「百花」完成披露(写真13枚) https://t.co/aXWcFUXfBK
イイノホールで行われ、キャストの菅田将暉、原田美枝子、長澤まさみ、永瀬正敏、監督を務めた川村元気が登壇
500席の会場🙄東宝枠200、とぷこ枠40、公式枠4…間隔空けてだったのかな?