「リコリス・ピザ」は1970年代の米ロサンゼルス・サンフェルナンドバレーを舞台に、25歳の写真技師アシスタントであるアラナと、15歳の高校生ゲイリーの恋模様を描く物語。予告編ではボウイの「火星の生活」が使用され、エモーショナルな効果が生まれている。
「2016年に亡くなったことをきっかけに、改めてボウイ作品をクローズアップしようという気運が高まっているのかもしれません」と推測する高橋。「とは言え、ボウイの楽曲はここ10年ぐらいずっと映画で使われ続けている印象があります。1970年代初期の『ジギー・スターダスト』から後期のベルリン3部作、1980年代の『レッツ・ダンス』まで、幅広い時代から選曲されているのが特徴ですね」と指摘する。
映画で使用されたボウイの楽曲には「バズ・ライトイヤー」や「オデッセイ」での「スターマン」、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」での「月世界の白昼夢」、「クロニクル」での「ジギー・スターダスト」などがあり、1972年発表のアルバム「ジギー・スターダスト」の収録曲を使うケースが目立っているという話も。また「『トップガン マーヴェリック』での「レッツ・ダンス」のように1980年代のアイコンとして使われる機会も増えている印象です」とも話している。
岡村はその魅力について「どんな作品でも、どんな場面でも、あらゆる作品でボウイの曲はフィットするということなのかもしれない」」「ボウイ自身の作品ではもちろんあの色気ある声が圧倒的な魅力の1つになりますが、意外に背景に溶け込むこともできてしまう」と分析。そして「明確に関係あると言い切れませんが」と前置きし、ボウイのドキュメント映画「Moonage Daydream(原題)」がまもなく日本でも公開されることに触れて「近年、音楽ドキュメンタリーが急速に増えて、音楽の歴史が脚光を浴びている中で、彼という人物と楽曲の多層性が見直されるきっかけなのかもしれません。その流れに映画内で彼の楽曲が多く使用される傾向が生まれているのかもしれませんね」と考察した。
「リコリス・ピザ」は7月1日に東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。
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