本作は、夢枕獏の小説を
「『坊っちゃん』の時代」「遥かな町へ」「孤独のグルメ」などで知られ、2017年に逝去した谷口と「ウルフウォーカー」の製作チームが7年の歳月をかけて完成させた本作。アニメーション化にあたり、プロデューサーのステファン・ローランツは「誰もが谷口ジローの作品に敬意を抱いていて、彼をがっかりさせたくない、という強い思いがありました」と語っており、谷口の画力を受け継いだ写実的な表現を追求した。
インバートはエベレスト登頂に成功した人の協力を仰ぎ、寒さの感覚、テントの中で寝たときの風の轟音、ロープの結び方、息切れなどリアリティを生み出す情報を映像に昇華した。インバートは「マンガの原作はあらゆる創作の拠り所にはなりましたが、マンガを再現するのとは違う作業が待っていました。谷口の絵には細かいディテールが描き込まれていて、それをそのままなぞるつもりはありませんでした。線の数を減らしたことで、かえってアニメーターは顔の表情に集中することができました。2Dでリアルな顔を描くには、目の位置などの細かい精度が要求されます。片目が少しずれているだけで、観客に違和感を与えてしまいますから」と言及している。
さらにインバートは、谷口とは別の構図を編み出すことにも挑戦。葛飾北斎、小津安二郎、今敏、高畑勲、宮崎駿ら日本のアーティストから影響を受け、逆光や構図のバリエーションなどあらゆるテクニックを使い、自分たちの方法でスクリーンに没入できるように試行錯誤を重ね、たくさんのアイデアを試したという。そして谷口が亡くなる直前の2016年に脚本と下絵を見せた際の本人の反応について、プロデューサーで脚本も担当したジャン=シャルル・オストレロは「とても好意的な感想でした。そもそも彼の作品も小説のマンガ化なので、翻案という作業を尊重してくれていることが伝わってきました」と明かした。
「神々の山嶺」は、7月8日より東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国でロードショー。
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パトリック・インバート監督作「神々の山嶺(いただき)」の絵コンテ、スケッチ画、カラースクリプトが到着した。 仝 https://t.co/h2119t477c 「神々の山嶺」谷口ジローの画力を受け継いだ写実的な表現を追求、絵コンテなど到着 - ナタリー https://t.co/VUYSOMy5rL