ベトナム枯葉剤被害を記録したドキュメンタリー、岸惠子や谷川俊太郎からコメント到着

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「花はどこへいった」「沈黙の春を生きて」に続く坂田雅子によるドキュメンタリー「失われた時の中で」が8月下旬より東京・ポレポレ東中野ほか全国で順次公開。このたび予告編と著名人の鑑賞コメントが到着した。

「失われた時の中で」ビジュアル (c)Joel Sackett

「失われた時の中で」ビジュアル (c)Joel Sackett

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「失われた時の中で」

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写真家だった夫グレッグ・デイビスの死をきっかけにベトナムへ向かった坂田が、およそ20年にわたって枯葉剤被害者の現実を記録した本作。1986年に治療のため来日したベトちゃんドクちゃんのように、ベトナム戦争の終戦からまもなく50年が経つ今なお、枯葉剤の影響で重い障害を持った子供たちが生まれている。予告編では、坂田が現地で出会った人々の過去と現在の姿が映し出される。

「失われた時の中で」

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映画の公開に先立ち、女優の岸惠子、詩人の谷川俊太郎、歌手の加藤登紀子らがコメントを寄稿。著書でベトナムの枯葉剤被害者との交流をつづっている岸は「坂田雅子さんは素晴らしいお仕事をなさっている方として尊敬しております。私自身ヴェトナムで見たことは胸に突き刺さっております。ドク君が一人生き残って、病院の廊下を微笑みながら杖にすがって歩いていた姿が忘れられません。ヴェトナムの女性たちの、苦難のなかにも笑みを絶やさずにいる佇まいは、静かな、本物の強さを感じました」と思いをしたためた。コメントはすべて以下に掲載している。

岸惠子(女優)コメント

坂田雅子さんは素晴らしいお仕事をなさっている方として尊敬しております。
私自身ヴェトナムで見たことは胸に突き刺さっております。
ドク君が一人生き残って、病院の廊下を微笑みながら杖にすがって歩いていた姿が忘れられません。
ヴェトナムの女性たちの、苦難のなかにも笑みを絶やさずにいる佇まいは、静かな、本物の強さを感じました。

谷川俊太郎(詩人)コメント

何度か胸がいっぱいになりました。日常と次元の違う感動。
ファクトの持つ恐ろしい力を引き出すアートの繊細な力。

加藤登紀子(歌手)コメント

どんなに分断の悲劇が続いても、それを繋げてきたのは、生きるためのひとりひとりの必死の努力。
生きているかぎり、私たちは希望です。

中村梧郎(フォトジャーナリスト)コメント

「失われた時の中で」は坂田監督が力を振り絞って制作してきた枯葉剤糾弾ドキュメンタリーの第3作である。3作品を貫くコンセプトは、ベトナム人の側、被害者の側に立ってこの非道を見つめたという点にある。それは、とりもなおさず「グレッグの無念を受け継ぐ」ことでもあった。ベトナムの被害者は今でも次々と死んでいる。そしてまた新たな子どもたちが苦難を背負って誕生する。本作は戦争の不条理をするどく衝く。まさに今日の課題である。

大石芳野(写真家)コメント

坂田雅子監督はベトナムからフランスへと枯葉剤の被がいにあった人たちにカメラを向け続ける。彼女の優しさも映画から伝わってくる。18年間をかけてベトナムの枯葉剤被害を取材し続けた監督の意思にも意志にも敬意を表するばかりだ。世界中の私たちがベトナム戦争に無関係ではいられないだけに、問題を共有していかなければならない。

石川文洋(報道カメラマン)コメント

枯葉剤という化学兵器の影響を受けたベトナムの人々の不幸を丁寧に取り上げた優れた作品であり、多くの人に見てもらって、戦争は犯罪であることを実感して欲しいと思った。枯葉剤はベトナムの多くの人生に影響している。私たちが知っているのはほんの一部である。

渡辺一枝(作家)コメント

今作の「失われた時の中で」によって坂田雅子監督は、長年追ってきた枯葉剤被害の問題を更に昇華させて、前2作「花はどこへいった」「沈黙の春を生きて」と共に一編の壮大な叙事詩に完成させた。ほんの短いコマだが時に挿入されるベトナム戦争時のフィルムや従軍体験者であった亡き夫グレッグ氏の写真や肉声が、本流である監督が取材し撮影してきた映像に分かち難く添い、監督自身が語るナレーションによってあたかも三位一体となって、戦争の不条理を強く静かに訴えかける。終わりを予測できない戦争を目の当たりにしている今、この映画が持つ意味は大きい多くの人の目に触れてほしいと願っている。

古田大輔(ジャーナリスト / メディアコラボ代表)コメント

2022年、私達は再び侵略と虐殺を目の当たりにし、核兵器や生物・化学兵器が使用されるのではないかという不安にさらされている。第2次世界大戦から80年近く、ベトナム戦争から半世紀近くが経とうとしているが、私達はいまも戦争を止めることができない。
2011年、新聞社の特派員だった私はベトナム中部ダナンを訪ねた。アメリカとの長年の交渉を経てようやく始まった枯れ葉剤の汚染除去を取材するためだった。被害を受けた人々の回復どころか汚染源の除去開始にすら、これだけ時間がかかり、その間も被害は広がり続けた。それから10年。ベトナムの枯れ葉剤のニュースを目にすることは、ほとんどなくなっている。現在、毎日目にしているウクライナの惨状すら、あと数年すれば、日常生活で見聞きすることはほとんど無くなるだろう。だからこそ、こういうドキュメンタリーが必要だ。決して忘れない。そこに暮らす人々の声を姿を現在と未来に残す。そのような行為を無駄だと冷笑する人もいる。蛮行はやまず、人は変わらない、と。しかし、ベトナム戦争に従軍した記者たちの報道が反戦デモを広げ、ウクライナから届く映像がロシアに対する厳しい制裁に繋がった。「よりよく知ることによって、世界を変えることができる」。映画の中で語られるこの言葉は、理想主義に基づくものではない。事実だ。

神田香織(講談師)コメント

戦争が終わって歳月は経過しても被害に終わりはない、それが「戦争」だということを改めて思い知らされました。20年前元気に被害者の子どもの面倒を見ていた親は今は年老いて途方に暮れています。枯葉剤被害者は今でも次々に亡くなっており、そして未だに障害を背負った子どもが誕生しています。アメリカ政府と枯れ葉剤を製造した企業は責任を取らず、補償は一切なし。ウクライナで戦争が始まってしまった今、万が一化学兵器が使用されたら…。ベトナムとウクライナが重なります。
坂田雅子さんご自身による静かなナレーションは、戦争で理不尽な目にあわされた人々の声を代弁しているかのように心にしみます。

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(c)2022 Masako Sakata

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ポレポレ東中野 @Pole2_theater

ベトナム枯葉剤被害を記録したドキュメンタリー、岸惠子や谷川俊太郎からコメント到着(予告編あり / コメントあり) https://t.co/bOF1xYqDwa

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