工藤の長編3作目「遠いところ」は、沖縄の若年層の実態を描いた物語。沖縄の子供の困窮した状況、DV、シングルマザーの様子を追ったルポルタージュに工藤が自身の生い立ちを重ね合わせたことから企画が生まれ、独自に取材を重ね全編沖縄で撮影した。主要キャストには新人もしくはデビュー間もない俳優をオーディションで起用。
工藤は本作について「クソッタレな現状に映画で反抗できることはないかと制作した」と明かし、「沖縄で撮影した本作が世界の人々にどう受け止められるか、日本で生きる若者の叫びをどう感じてもらえるか、楽しみにしています」と喜びを伝えた。
本作はカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の最高賞を決めるクリスタルグローブコンペティション部門に出品される。同部門に日本映画が選出されるのは10年ぶり。結果はチェコ現地時間7月9日に発表される。
※高橋雄祐の高は、はしご高が正式表記
工藤将亮 コメント
いま日本の若者は危機に直面しています。大人たちは自分勝手に振る舞い、自己のために若者の未来を踏みにじっています。日本のメディアが報じる沖縄は連日基地問題のことや防衛のことばかりで、子供の貧困について語られることは多くはありません。国や政府は防衛費や在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)には糸目を付けませんが、シングルマザーたち(若年母子の家庭)には支援や保護は考えていないかのようです。そんなクソッタレな現状に映画で反抗できることはないかと制作したのが本作です。
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭から招待を受け大変光栄です。沖縄で撮影した本作が世界の人々にどう受け止められるか、日本で生きる若者の叫びをどう感じてもらえるか、楽しみにしています。
花瀬琴音 コメント
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭にて「遠いところ」の上映が決まったと連絡を受け、とっても嬉しかったです。沢山の素敵な作品が集まる歴史ある映画祭に呼んでいただき光栄です。ありがとうございます。
「遠いところ」では私のこれまでと、この先の人生と、本作に出てくるアオイのような行き場のない若者たちの未来を背負って、魂を込めて演じさせていただきました。
工藤組一丸となり奮闘し、向き合い、作り上げた作品です。
そのような環境を頂いた、関係者の皆様へ感謝の気持ちでいっぱいです。
1人でも多くの方にお届けしたい作品です。
石田夢実 コメント
この度、「遠いところ」でミオ役を演じさせていただきました石田夢実です。
映画の舞台、沖縄市胡座(コザ)の街で実際にミオとして2ヶ月間を過ごしました。現地では、中学生で子を産みキャバクラでお金を稼ぐという女の子に出会いました。今まで私にとっての普通だと感じていた環境との差に、普通とはなんなのかを毎日考えさせられました。初挑戦の女優で、滞在中は現地の方と積極的に関わり、方言はもちろん、コザの人の考え方など、吸収できるものを常に取り込もうと努力しました。無事クランクアップを迎えられたこと、こうして皆さんに観ていただけると思うとすごく感慨深いです。
子供達が生きるために体を張ってお金を稼いでいる、その姿を大人達は、見て見ぬ振りをしている。
そんな世の中がどうか変わってほしい。そんな思いを込めて、撮影に臨んできました。たくさんの方にご鑑賞いただき、本作がなにか少しでも心を動かすきっかけになれればと思います。
佐久間祥朗 コメント
今作品のオーディションは、私がこれまで受けてきた中でも一番の衝撃でした。
一次オーディションを終えた後、絶対合格したと確信し、二次オーディションでも自信と覚悟をもって臨み、最終的にマサヤという役をいただく事ができました。
しかし、フィールドワークや実際の撮影現場では日々葛藤と試行錯誤の連続でした。
沖縄で実際に過ごして現地の人々と触れ合う中で、自分の経験値や価値観、思考が良い意味で破壊されていく毎日がとにかく刺激的な日々でした。
監督をはじめスタッフさん達の愛が詰まった作品です。よろしくお願い致します。
工藤将亮の映画作品
リンク
カトウシンスケ @shinbotch
出演しました映画「遠いところ」(工藤将亮監督)がカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭のメインコンペティション部門に選出されました。
皆さまおめでとうございます。
若き主演陣の血潮。震えるものがありました。
「遠いところ」遠くチェコの地でワールドプレミア。羽ばたけ。と祈る。 https://t.co/N9YxB2fmHp