「るろ剣」大友啓史が批評家大賞で感謝のスピーチ「映画は観客の皆さんに育てられる」

第31回日本映画批評家大賞の授賞式が本日5月30日、東京・東京国際フォーラムにて開催。「るろうに剣心 最終章 The Final／The Beginning」で監督賞を獲得した大友啓史、「すばらしき世界」で脚本賞を受賞した西川美和らが登壇した。

作品賞を受賞した「偶然と想像」は“偶然”と“想像”をテーマにした3本の短編からなるオムニバス。監督の濱口竜介に代わりトロフィーを受け取ったプロデューサーの高田聡は「このたびは作品全体に対して与えられる作品賞をいただけて本当にうれしく思います。この映画は濱口竜介監督のもとに、とても小さなチームで集まって、先のことを決めずにただ短編集を同じテーマで1つひとつ丁寧に制作しました。結果としてこのように評価をいただけたことを大変誇らしく思います」と述べた。

「るろうに剣心 最終章 The Final／The Beginning」は、和月伸宏のマンガを実写化した「るろうに剣心」シリーズの最終章となった2部作だ。新型コロナウイルスの影響で興行的に苦しい思いをしたと話す大友は「観客の皆さんが愛してくださり、映画は観客の皆さんによって育てられることを改めて実感しました」と語る。活劇の復活を旗印にして走り続けてきた大友は「この映画は、なかなか日本映画では突破できなかったことを知恵と工夫で乗り越えました。映画からほとばしる俳優の感情、映画を届けたいというスタッフのエネルギーがストレートに伝わったのではないかと思います」とキャストやスタッフへ感謝を伝えた。

「脚本賞をいただけるのはすごくうれしいんですよ！」と受賞を喜ぶ西川は「今回の作品は長編映画で初めて、自分以外の方が書いたものを脚色して映画に仕上げていく体験をしました」と明かす。佐木隆三の小説「身分帳」を脚色して映画へと昇華させた西川は、「佐木さんは事実をしっかり取材して書かれる方だったので、自分がいいかげんな脚色をして素晴らしい小説を台無しにしてはいけないなと思い、時間をかけていろいろな方に取材させていただきました。服役経験のある方や暴力団に所属していた方が正直な言葉で語ってくださり、たくさんの方に支えられて脚本を完成させることができました。この場をお借りしてお礼を言いたいです」と感無量の表情を浮かべた。

また「シン・エヴァンゲリオン劇場版」でアニメーション監督賞を手にした庵野秀明は、手紙で「近年は新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、非常に厳しい状況下での活動となりました。2度の公開延期を余儀なくされるなど、興行活動も大幅に制限された状況ではありましたが、いつも支えてくださるファンの方々の応援や関係者の皆様のご尽力を賜り、たくさんの方に愛される作品と素晴らしい結果を残すことができました」と感謝の意を表した。

第31回日本映画批評家大賞の受賞結果は以下の通り。

第31回日本映画批評家大賞受賞結果

作品賞

「偶然と想像」

主演男優賞

古田新太「空白」

主演女優賞

瀧内公美「由宇子の天秤」

助演男優賞

鈴木亮平「燃えよ剣」「孤狼の血 LEVEL2」

助演女優賞

三浦透子「ドライブ・マイ・カー」

監督賞

大友啓史「るろうに剣心 最終章 The Final」「るろうに剣心 最終章 The Beginning」

新人監督賞

穐山茉由「シノノメ色の週末」
阪元裕吾「ベイビーわるきゅーれ」
藤元明緒「海辺の彼女たち」

新人男優賞（南俊子賞）

佐藤緋美「ムーンライト・シャドウ」
Fukase「キャラクター」

新人女優賞（小森和子賞）

伊澤彩織「ベイビーわるきゅーれ」
石川瑠華「猿楽町で会いましょう」
伊藤万理華「サマーフィルムにのって」
西川洋子「いとみち」

ドキュメンタリー賞

「くじらびと」

アニメーション作品賞

「フラ・フラダンス」

アニメーション監督賞

庵野秀明「シン・エヴァンゲリオン劇場版」

脚本賞

西川美和「すばらしき世界」

編集賞（浦岡敬一賞）

堀貴秀「JUNK HEAD」

撮影賞

上田義彦「椿の庭」

特別賞（松永武賞）

小倉智昭

ゴールデン・グローリー賞（水野晴郎賞）

荒木一郎

ダイヤモンド大賞（淀川長治賞）

富司純子「椿の庭」