ヤン ヨンヒの新作「スープとイデオロギー」予告公開、パク・チャヌクらがコメント

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スープとイデオロギー」の予告編がYouTubeで公開された。

「スープとイデオロギー」

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「スープとイデオロギー」メインビジュアル

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「愛しきソナ」「かぞくのくに」で知られるヤン ヨンヒが監督を務めた本作。韓国・済州島で多くの住民が犠牲となった済州4・3事件の経験者であり、現在はアルツハイマー病を患う母にヤン ヨンヒがカメラを向け、消えゆく記憶をすくい取りながらその半生と向き合った。

「スープとイデオロギー」

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予告編では、失われつつある母の記憶を描いたア二メーションや、「お嬢さん」「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」などの音楽を手がけたチョ・ヨンウクによる楽曲の一部を確認できる。

「スープとイデオロギー」

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映画監督のパク・チャヌクは「『スープとイデオロギー』は、ヤン ヨンヒのこれまでの作品のように、私たちがいつまでも噛み締めなければいけない思考の種を与えてくれます」と語った。チャヌクのほか、俳優のヤン・イクチュンキム・ウィソン、翻訳家の斎藤真理子、フォトジャーナリストの安田菜津紀、WAHAHA本舗の作・演出家の喰始からコメントが到着。以下に記載した。

「スープとイデオロギー」は6月11日より東京・ユーロスペース、ポレポレ東中野、大阪・シネマート心斎橋、第七藝術劇場ほかで公開。

パク・チャヌク(映画監督)コメント

人々はヤン ヨンヒについて「自分の家族の話をいつまで煮詰めているのだ。まだ搾り取るつもりか」と後ろ指をさすかもしれません。しかし私ならヤン ヨンヒにこう言います。「これからもさらに煮詰め、搾り取ってください」と。
彼女の作品たちは、単純に、ある個人についての映画ではありません。普通は対立すると思われる二つのカテゴリーの関係について問い続ける映画です。その目録はとても長い。個人と家族、個人と国家、韓国と北朝鮮、韓国と日本、資本主義と共産主義、島と陸、女と男、母と父、親と子、新世代と旧世代、21世紀と20世紀、感情と思想、そして何よりもスープとイデオロギー。
ヤン ヨンヒの母親、この老いた女性一人の顔を見つめながら、私たちはこれらすべてについて省察することができます。映画「スープとイデオロギー」は、ヤン ヨンヒのこれまでの作品のように、私たちがいつまでも噛み締めなければいけない思考の種を与えてくれます。ヤン ヨンヒは引き続き煮詰め搾り出し、私たちはこれからも噛み締めなければなりません。

ヤン・イクチュン(俳優 / 映画監督)コメント

オモニ(母)のレシピ通りにつくったあのスープの中には、どんな言葉でも語り尽くせないすべてが込められている。

斎藤真理子(翻訳家)コメント

この映画は記憶に関する映画でもある。一人の人が持ちつづけた記憶も、持ちきれずにあふれた記憶も歴史になる。歴史は一杯の巨大な器に入ったスープなのかもしれない。一人ひとりがその中に溶けているのか、一人ひとりの中にその器があるのか。どちらであるにせよ、このスープを大切に飲んで、飲んだことを記憶しよう。

安田菜津紀(認定NPO法人 Dialogue for People 副代表 / フォトジャーナリスト)コメント

オモニは少しずつ、「忘れて」いく。押し込めてきたあまりに凄惨な記憶を、誰かと分かち、託していくほどに。「もう忘れてもいいよ」と言えるほど、オモニの、人々の背負ってきた歴史を、私は知らなかった。そして、「知らなかった」で終わらせたくない。

キム・ウィソン(俳優 / 映画監督)コメント

新しい家族──映画「スープとイデオロギー」は、ヤン ヨンヒ監督の「家族ドキュメンタリー映画3部作」の最終章だ。「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」で東京・大阪・ピョンヤンに分かれていた家族は、大きな変化を経験する。日本人・荒井カオルの登場である。
真夏の大阪にスーツを着て、汗をかきながら現れた彼は、オモニ(母)が作ってくれた鶏スープを食べる。彼はオモニのレシピに沿ってスープを作り、オモニをもてなす。複雑な歴史をもつこの家族の中に、この日本人は一歩一歩溶けこんでいく。

喰始(WAHAHA本舗 作・演出家)コメント

ヨンヒの作品を観ると、自分の家族について考えてしまう。
父と母は、旧満州からの引揚者だった。姉と兄は残留孤児になる可能性があった。
小学3年の時、父と母は離婚し新しい母が来た。
その育ての母は、ヨンヒのオモニ同様に今は認知症だ。
どんな家族にも、歴史がある。ドラマがある。日常がある。非日常がある。
ヨンヒの作品を観ると、自分の家族を思い出す。

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(c)PLACE TO BE, Yang Yonghi

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