「カナルタ 螺旋状の夢」東京で再上映、森山未來やコムアイのコメント到着

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ドキュメンタリー「カナルタ 螺旋状の夢」が、4月23日から29日まで東京・下高井戸シネマで上映されることがわかった。

「カナルタ 螺旋状の夢」キービジュアル

「カナルタ 螺旋状の夢」キービジュアル

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2021年10月に東京のシアター・イメージフォーラムで8週間にわたりロングラン上映された本作。英マンチェスター大学で映像人類学の博士課程に属していた太田光海が、卒業制作のためアマゾン熱帯雨林に住む先住民シュアール族のもとを訪れた。4月23日の上映初日には太田による舞台挨拶が開催される。

なお森山未來コムアイら各界著名人からのコメントも到着した。

森山未來(俳優 / ダンサー)コメント

例えば、執拗に殺菌された僕らの手はどのような微生物も受け入れず、体内から生まれる微生物を誰かに届けることもない。方や芋に唾液を混ぜ合わせて酒を作り、その酒を振る舞って家を建て、吐き出された吐瀉物は土に還る。そうやって全身を使って大地と交感し、愚直な循環を続けるアマゾンに住む人々。どちらが地球と共に生きていると言えるのだろう。

コムアイ(アーティスト)コメント

死人は息を吹かない。息を吹き返すと言って生き返ることを表現するくらいだから、息を吹くのは身体にみなぎる生命力の象徴なのだろう。映画「カナルタ」で印象的だったのは、シュアール族のセバスティアンが息を吹くさまだった。彼がアヤワスカを飲んでビジョンを見ているとき、宙に向かってあちこちに息をフーーッと吹いた。彼は空の中に浮かんでいて、雲を蹴散らしているようだった。恐怖に負けそうな時も吹いた。ここにいる、生きている、と。自分を食わんとする動植物や菌や霊たちに対して、テリトリーを主張するようだった。謎めいた命の息吹が肉体に宿っていて、今生かされているんだ、どうだ、見てみろ! 俺は食えんぞ!と主張しているように見えた。口噛み酒のチチャを作る時も、妻のパストーラはよく噛んだユカをビューーッと鍋に吹いた。吐くのではない、吹くのだ。吐くときは、自分の身体から要らないものを排出するときだ。吹くときは、命の息吹が身体から躍り出る。美味しいチチャになるのだ!
映画を見終わって、東京の電車の中、ひとびとがマスクのなかでつくため息を感じる。切ないながら神秘的だ。いろいろあるし、疲れちゃったけど、いやまだまだ、この身体には生命力が宿っているんだ、やられてたまるか、と言わんばかり。生命力を確認する。
映画を扉にして、シュアール族の人々に個人的に出逢ったような気持ちにさせてくれてありがとう。

中沢新一(思想家 / 人類学者)コメント

カメラを持った人間=人類学者が植物の内面空間に入り込んでいく。そこに充満する樹液によって、森に暮らすあらゆる生き物が生かされ、癒され、超越領域への扉を開かれている。カメラは植物の外部にあるのに、それがとらえる映像はたしかに植物の内面空間へ潜り込んでいるように、私たちは感覚するのだ。映像による人類学は、この映画によってまた一歩、自然の奥に入り込むことに成功した。

想田和弘(映画作家)コメント

新しい才能による、大変な力作である。人間は文明化によって様々な能力を失ってしまったのだなあと、痛感させられる。「森を壊すことは、自分を壊すことなのだ」という主人公の言葉は、全人類が背筋を伸ばして耳を傾けなければならぬ金言であり、警告であり、予言である。

田口ランディ(作家)コメント

小さな植物を通して地球というクラウドに繋がる少数民族の思想に共感する。アヤワスカやマジックマッシュルームのセレモニーにおいて、主役はあくまで植物だ。太田光海監督はそのことをよく認識している。植物の精霊への畏怖と敬意、それがあって初めて体験が現実と結びついていく。自然界への畏怖が幻覚体験におけるエゴの肥大から人間をすくい上げ、生命の平等性へと啓かれたとき、自らの霊的な課題(ヴィジョン)が無意識の闇の底から現れるのだ。

宮台真司(社会学者)コメント

凡庸な受け手は撮影者太田光海と撮影対象セバスチアンとの間に理解が成立していると受け取り得る。だがラスト近くのアヤワスカの場面を含めて所々に露呈する不理解に目を凝らそう。原住民の文明的な装束や撮影者が東洋の文明国出身である等の見掛けをスルーすると、そこには或る不穏さが浮かび上がる。未規定なものを呼び込む徴候がである。これらの徴候はアマゾンから遠く離れた僕らの日常に既に頻出している。目を凝らせ。

管啓次郎(詩人 / 明治大学教授)コメント

植物のおかげで人は生きてきた。忘れてはいけない。ヒトのはじまりから、いつもそうだった。森を歩き、森で歌い、森の水を飲むかれらの生活にまぎれこむとき、強烈によみがえってくるのはそのことだ。薬草マイキュアが見せてくれるのは、きみ自身の真実。ナンキが撮ったこの映画が、われわれにとっての薬草だ。

長谷井宏紀(映画監督)コメント

彼らは時空を超えた世界と繋がっている。アマゾンから生まれた夢は、都市に暮らす僕を新たな世界へと導いた。この映画は未来に向けて、新たな視座をもたらしてくれる。太田光海という素晴らしい才能に出会えた事が嬉しい。

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(c)Akimi Ota

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下高井戸シネマ @shimotakacinema

『カナルタ 螺旋状の夢』
🌳4/23(土)〜4/29(金) 19:35
🐜初日4/23(土)上映後、太田光海監督の舞台挨拶あり!
👀お見逃しなく! https://t.co/x7TxupehAr

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