PFFアワード2020で審査員特別賞を受賞した本作の舞台は、2018年の東京。家庭に不和を抱える不登校気味の高校生・鳴海と、その同級生・いくは、いくが鳴海のライブ配信を観るという一方通行の関係だった。しかし、いくが梶井基次郎の「檸檬」のように、自分の遺書を赤の他人の家に投函するところを鳴海が目撃したことから、互いの心と傷の手当てをし、支え合う関係に発展していく。いくを阿部百衣子が演じ、鳴海にモデルで俳優のせとらえとが扮した。またいくの遺書を読み正義感に突き動かされるフリージャーナリスト・直樹役で
「始終私の心を圧えつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか弛んで来たとみえて、私は街の上で非常に幸福であった」という「檸檬」の引用から始まる特報には、いくが遺書を投函する様子や、鳴海が動画を配信するシーンが映し出されている。「勝手に測り、測られる“死にたさ”の度合い」というフレーズも。また場面写真と、阿部、せとらえとのコメントが到着した。
「頭痛が痛い」は6月3日より東京・アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開。
阿部百衣子 コメント
演じたいくは、一言で言うと、過去の自分にものすごく近い子だな、と思いました。
自分はそんなことしたいと思っていないのに、分かりやすく誰かに優しくしたり、人に感謝をされることをする。それがいくにとっての自傷行為で、それを発散するための方法が遺書を投函すること。誰の記憶にも残らずすっと水蒸気みたいにいなくなりたいのに、むざむざと爪痕を残そうとしてしまう、本人も気づいていない「矛盾と葛藤」みたいなものを表現できれば、と思いながら演じていました。
完成した映画を見た時は、不思議な感覚でした。島内いくという架空の人物でもあり、過去の自分を見ているようでした。最後にはどこかで救われていて欲しい、と願いながら見ました。
PFFでこの映画が評価を受けられたということは、まだ世界に救いが残っているということだと思います。「死にたい」はタブーな感情で、表に出すことはなかなかできないかもしれないけれど、決して悪いことではない。誰だって抱いていい感情で、その感情を抱きながらも生きている人がいる。世の中は断絶をし続けているし、人と人は簡単には思いを共有できません。それでも、どこかには「生きていて欲しい」と願う人がいる。綺麗じゃなくても泥臭くてもいいから生きていていい。
人と人との溝が深くなってしまった今だからこそ、見て欲しい映画です。
せとらえと コメント
鳴海は、一見やさぐれているようだけど、不器用で繊細で傷付きやすく、自分自身の中に色々な葛藤を常に抱えている女の子だと思いました。鳴海は昔の自分と被るところもあり、その頃の事を思い出しながら演じた箇所もありました。
あと、あまり感情を表情に出せないぎこちなさみたいなのを意識しました。
完成した映画を見て、その時の心情だったり、見る度に感想や想いが変わる映画だなと思いました。みんな幸せになって欲しいと思いました。
PFFで審査員特別賞を受賞した際は、良い意味で驚きはしなかったと言いますか、自分の中で特別で大切な映画が評価されて嬉しかったです。ただ少しグランプリを獲れなかった悔しさもありました。
「しんどいな」「死にたいな」と思うことに罪悪感を持ってしまったり自分を責めてしまう人って多いと思うんです。この鬱々としたご時世だからこそ、とかは言いたくないけれど。
そういう人たちに観て欲しいし、死にたいなんて思ったことない人にも、「こういう人たちもいるんだ」って知って欲しい。あとは自分を大切にして欲しい。とにかく劇場に足を運んでいただきたいです。
守田悠人の映画作品
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ルートヴィヒ白鳥王 @lohengrin_lud
少女2人が互いを支え合う、守田悠人の監督作「頭痛が痛い」特報(コメントあり)
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