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本作ではラジオジャーナリストのジョニーと9歳の甥ジェシーが、数日間の共同生活を通して絆を育むさまが描かれる。
イベント冒頭、スクリーンにミルズの姿は映るが音声が聞こえないというアクシデントが発生。そんな中、ミルズは「来場してくれてありがとう」「みんな元気?」「この状況は笑えるね」といったメッセージを添えた手書きのイラストを披露し、お茶目な一面をのぞかせる。本作の日本版ビジュアルを手がけた大島から、モノクロ映画にした理由を問われたミルズは「昔からモノクロ映画が好きだったんだ。日本だと小津安二郎監督の作品とかね。だから、いつかモノクロ映画を撮ってみたいと思っていた。実際に白黒で映画を撮ってみると、いろんなことがよりシンプルになっていった。フォーカスすべき人の顔や表情だったり、佇まいが優しくなっていく実感があって、我ながら気に入ってるんだ」と述べた。
また観客から本作の着想について聞かれたミルズは「きっかけとなったのは、最愛の自分の子供だね。いろんなことを教えてくれるし、必要とされるとはこういうことかと実感させてくれる。自分はどうあるべきか問いかけてくれる存在。親になるということは、私にとって意味深い体験なんだ」と自身の子供の写真を見せながら答える。続けて、「それに子供はチャレンジをふっかけてくるんだ。子供というのは正直で、大人を見据えている。大人というのは、何かと仮面を被ったり、物事を隠したりする。そういうのは全部見透かされていて、その仮面の向こう側にある私たちの真の姿を見てくれているのが子供なんだ。子供と大人は発達段階が違うだけで、大人より劣った存在ではないんだ」と語った。
ジョニーがジェシーに読み聞かせをするシーンで、「オズの魔法使い」をセレクトした理由を尋ねられると、ミルズは「正直に言うと、製作上の都合。通常は著作権があるため使用料がかかってしまうが、『オズの魔法使い』はパブリックドメインで、無料で使えたんだ(笑)」と述べ、「『オズの魔法使い』も本作も、主人公が旅路の中で自分を発見していくロードムービーの側面がある。そのつながりに気が付いて、撮影の直前にこの本を使うことを決めたんだ。『オズの魔法使い』は、みんなそれぞれ欠点や不自由を抱えながらも、周りと力を合わせながら何とか前に進もうとする物語。まさにこの映画だと思った。撮る側が感性を磨きさえすれば、魔法のような機会を引き寄せることができると思っている。本当にたまたまだったんだけど、『オズの魔法使い』を選んだことも映画のマジックが効いたと思っている」と撮影秘話を明かした。
最後にミルズは「時間を割いて映画を観てくれる観客がいて、はじめて映画が完成されるんだ。皆さんがこの映画を完成させる存在だと思っていて、この映画の存在を可能にしてくれたことを改めて感謝を伝えたい。バーチャルでだけど、会えて本当にうれしい」とメッセージを送った。
「ミッドサマー」のA24が製作に携わった「カモン カモン」は4月22日より、東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。
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