「愛しきソナ」「かぞくのくに」で知られる
韓国・済州島で多くの住民が犠牲となった済州4・3事件。本作では、その経験者であり、現在はアルツハイマー病を患う母にカメラを向け、消えゆく記憶をすくい取りながら母の半生に向き合っていく。DMZ国際ドキュメンタリー映画祭2021のグランプリにあたるホワイトグース賞、ソウル独立映画祭2021の特別賞を受賞したほか、山形国際ドキュメンタリー映画祭2021のインターナショナルコンペティション部門にも出品された。
ヤン ヨンヒは「『スープとイデオロギー』というタイトルには、思想や価値観が違っても一緒にご飯を食べよう、殺し合わず共に生きようという思いを込めた。1本の映画が語れる話なんて高が知れている。それでも、1本の映画が、世界に対する理解や人同士の和解につながると信じたい」とメッセージをつづっている。
このたび本作のメインビジュアルも完成。「人生フルーツ」「戦場のメリークリスマス 4K修復版」も担当したデザイナー・成瀬慧が手がけた。また公開に先立ち、本作を鑑賞した映画監督の
「スープとイデオロギー」は東京・ユーロスペース、ポレポレ東中野、大阪・シネマート心斎橋、第七藝術劇場ほかで公開。
キム・ユンソク(俳優、映画監督)コメント
「ディア・ピョンヤン」「愛しきソナ」「かぞくのくに」──これら宝石のような映画たちを観ながら、
私が最も驚かされ気になった人物はオモニ(母)だった。「スープとイデオロギー」は、まさにそのオモニについての物語だ。
是枝裕和(映画監督)コメント
「私たち」のすぐ隣に住み、「私たち」とは違うものを信じて生きている「あの人たち」。彼らがなぜそのように生きているのか、
なぜ「私たち」には理解できないものを信じようとしたのか。 監督でもある娘が撮影を通して母を理解していくように、
この作品を観終わるとほんの少し「あの人たち」と「私たち」の間に引かれた線は、細く、薄くなる。
平松洋子(作家、エッセイスト)コメント
「ディア・ピョンヤン」「かぞくのくに」、そして本作。
ヤン監督による三作品を束ねる圧倒的な強度。むきだしの母の生の姿を追い、やがて現れる家族の真実に心臓を射貫かれる。
ヤン ヨンヒ コメント
本作で私は、初めて家族と「南(韓国)」との関係を描いた。
「スープとイデオロギー」というタイトルには、思想や価値観が違っても一緒にご飯を食べよう、殺し合わず共に生きようという思いを込めた。
1本の映画が語れる話なんて高が知れている。それでも、1本の映画が、世界に対する理解や人同士の和解につながると信じたい。
私の作品が多くの人々にとってポジティブな触媒になることを願っている。
河村書店 @consaba
是枝裕和「 監督でもある娘が撮影を通して母を理解していくように、この作品を観終わるとほんの少し「あの人たち」と「私たち」の間に引かれた線は、細く、薄くなる。 」https://t.co/QL9mJfOI1X