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本作は映像制作者集団・分福の新人監督である川和田の商業映画デビュー作。家族とともに生まれた地を離れ、幼い頃から日本で育ったクルド人の女子高生サーリャの日常が、在留資格を失ったことで変化していくさまが描かれる。ViVi専属モデルの
映画祭はコロナ対策のため約50%の客席数で実施されたが、「マイスモールランド」のチケットは約500席が完売。現地参加が叶わなかった嵐と奥平は映画祭にメッセージ映像を寄せた。ドイツ人の祖父を持つ嵐は自身のルーツに縁を感じたことに触れながら英語とドイツ語で挨拶。奥平も英語のコメントを寄せた。YouTubeでは2人のメッセージや映画祭の模様を収めた映像も公開中だ。
続くQ&Aで観客から映画のインスピレーションを問われた川和田は、2016年頃に自分と年齢の変わらないクルド人女性兵士の写真を見たことを回想。「その頃まで日本に住むクルド人コミュニティの存在を知らなかった」と明かしつつ、「ドキュメンタリーも作られ、日本に住むクルド人に対する理解は少しずつ広まっていると思うのですが、実際、日本では難民がほとんど認められない。でも日本を頼って逃れて来た人たちがいる。そういう人たちのことを、ほとんどの人が知らない。知らなくても『いない』ことにしないでほしい。そういう気持ちを持って映画を作っていました。フィクションとして描いたからこそ、いろんなルーツを持つ人にも自分の物語として観てもらえる映画になったのではないかと思います」と語る。
続いて在留ビザの延長が叶わず、まもなく帰国予定であるという男性が、自身の体験が劇中の家族と重なったという感想を吐露。「今後もこういった作品を作り続けていかれるのでしょうか?」と質問すると、川和田は「私自身が、日本とイギリスのミックスであるため、自分が何人か?という国籍やアイデンティティには強い関心がある。今後も軸になっていくと思います」と明かした。映画祭を終えた川和田は「Q&Aでは思いがあふれて涙を流してくれる方もいました。場所によってこんなにリアクションが変わるんだな、と。日本での公開も楽しみにしています」と参加の感想をつづっている。
このたびジェネレーション部門のヘッドプログラマーを務めるセバスチャン・マルクトからのコメントも到着。普段目にすることのない「日本におけるクルド人家族の難民問題」という題材への称賛を寄せつつ、「このテーマを子供たちの目線と、素晴らしい映像で描いている。サーリャは目の前の問題に対峙しつつ、2つの世界のはざまにいなければならず、クルド社会と彼女自身が生まれ育った日本の“普通の”社会をつなげる役も担っています。この物語は世界共通のテーマです。さまざな希望が矛盾を生み出してしまう。川和田監督は、その社会の矛盾を、とても美しい映画らしい構成で物語に練り込んでいると思います」と語った。
第72回ベルリン国際映画祭は現地時間2月20日まで開催。ジェネレーション部門の授賞式は2月16日に行われる。「マイスモールランド」は5月6日より東京・新宿ピカデリーほか全国ロードショー。
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Miyaguchi @magoroku_seven
日本に暮らすクルド人家族描く「マイスモールランド」監督がベルリン映画祭Q&A出席(動画あり) https://t.co/UfnIbwxQqv