オードリー・ヘプバーンのドキュメンタリー公開に向け、息子からメッセージ到着

ドキュメンタリー映画「オードリー・ヘプバーン」のポスタービジュアルが完成。あわせてオードリー・ヘプバーンの息子であるショーン・ヘプバーン・ファーラーからコメント到着した。

幼少期に経験した父親による裏切り、ナチス占領下のオランダという過酷な環境で育ったトラウマ、奪われたバレエダンサーへの夢といった過去を経て、「ローマの休日」をきっかけにスター女優となったヘプバーン。一方で、育児のために女優業を休業するなど子供たちに深い愛情を注ぎ、晩年はユニセフ国際親善大使として活動した。本作では貴重なアーカイブ映像とともに、近親者のインタビューによってヘプバーンの素顔に迫る。

最初の夫メル・ファーラーとの息子であるショーンは「私が伝えたいのは1人の女性としてのオードリーの姿です。みんなと同じように不安や疑心を持っている生身の人間としての姿です。オードリーは自分のことを美しい人や特別な人というふうに思ったことはありませんでした。だからこそ、彼女は常に努力をし、いつでもプロフェッショナルであり、誰に対しても優しい人でした」と述懐。また本作を「この素晴らしい作品はドキュメンタリー以上にオードリーの真実に迫り、伝記以上にオードリーの生涯をつづる、信念と愛情と思いやりの物語です。彼女が目一杯生きた人生の物語なのです」と表現するなど、母への思いを長文でつづっている。コメント全文は以下に掲載した。

「オードリー・ヘプバーン」は5月6日に東京・TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国で公開。

ショーン・ヘプバーン・ファーラー コメント

2019年5月に私の母、オードリー・ヘプバーンは90歳の誕生日を迎えるはずでした。このアニバーサリーのタイミングで私は「アイコン」「銀幕のスター」「伝説」という切り口でオードリーの核となる部分を描くプロジェクトを立ち上げました。

私が伝えたいのは1人の女性としてのオードリーの姿です。みんなと同じように不安や疑心を持っている生身の人間としての姿です。オードリーは自分のことを美しい人や特別な人というふうに思ったことはありませんでした。だからこそ、彼女は常に努力をし、いつでもプロフェッショナルであり、誰に対しても優しい人でした。

最初のプロジェクトはオードリーの展覧会「Intimate Audrey」（2019年ヨーロッパで開催）でした。私たちはこの展覧会を彼女の考えや哲学を中心に構成し、オードリーを1人の人間として見せました。
さらに展覧会カタログの代わりとなるような本として、オードリーの人生をつづった絵本「リトル・オードリーのデイドリーム（原題：Little Audrey's Daydream）」を制作しました。この本は現在英語版が世界各国で出版されていて、日本語版はあかし出版から出ています。

もう1つのプロジェクトはドキュメンタリー映画「オードリー・ヘプバーン」です。プロデューサーのニック・タウシグとこの件について話し合ってすぐに、私たちが描きたいオードリーの物語がピタリと一致しました。この作品はオードリーをよく知る人たちが語る、1人の女性の人生の真実です。
1人の女性としての彼女の本当の姿を知る人や、彼女の人生の酸いも甘いも両方知る人。
ニックが本作の海外セールスにあたりいいパートナーを探していると聞いたとき、日本のパートナーとして東北新社に連絡しました。彼らとは50年間、私たちのエージェントとして関係を築いてきました。彼らに本作を託すということは、家族にバトンを渡すような感覚でした。

私はさまざまなところで「なぜ、オードリーは今でも世界中で愛されているのか」という質問を受けます。これについて私もずっと考えていました。そしてたどり着いた答えは、私たちがオードリーを「自分たちと同じ1人の人間」として身近に感じてられるから。数多くのハリウッドスターとオードリーが違うのは、彼女は身一つで海を越え、シンプルな黒のドレスだけでこの世界へ飛び出してきたことです。だからこそ、私たちはオードリーを応援したくなるのです。　

この作品を通して、皆さんが出会い、知っていく女性はこのような人物なのです。
この素晴らしい作品はドキュメンタリー以上にオードリーの真実に迫り、伝記以上にオードリーの生涯をつづる、信念と愛情と思いやりの物話です。彼女が目一杯生きた人生の物語なのです。

この作品はオードリー・ヘプバーンを語るうえで欠かせない新たな「クラシック」になるでしょう。優しさと愛情は何よりも勝るという安心感を求めたいとき、人々は雨が降る日曜の午後にふとオードリーの作品を観返すのと同じように、きっとこの作品を何度も観たくなることでしょう。