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本作はイギリス・ロンドンの歓楽街ソーホーを舞台にしたサイコホラー。異なる時代に生きる2人の女性の“夢と恐怖”が、ある出来事によってシンクロしていくさまが描かれる。トーマシン・マッケンジーが現代のソーホーでファッションデザイナーを目指すエロイーズを、アニヤ・テイラー=ジョイが1960年代のソーホーで歌手を夢見るサンディを演じた。
ライトと親交がある小島は、2年前に本作のラッシュ映像を観ており「ようやく完成作を観れた」と笑顔を見せる。「僕たちはお互いに映画オタクであり、音楽オタクで今作にもその要素があります。一皮も二皮もむけた、飛び抜けた作品で嫉妬しました」と絶賛し、「劇中でキーになっているのは鏡。アナログなやり方で表と裏、主人公の夢と現実をうまく描いていました」と語った。
ライトは「鏡の部分を楽しんでくれてありがとう。サイレントやルイス・ブニュエルの時代から鏡を使った撮影技術がありますよね」とうなずく。また映画の設定は自分の体験とつながっているそうで、「自分自身であることを自覚したまま、鏡を見るとそこには自分ではない他人が写っているという夢を見るんです」と明かした。
続いて長濱が鏡を隔てて違う人物(エロイーズとサンディ)が写るシーンの撮影法を尋ねると、ライトは「SFXの技術も使っているけど、サンディがクラブのロビーに登場するシーンはシンプルです」と返答して観客にこっそり種明かしをした。また「別撮りするという手段も取れたが、なるべくトーマシンとアニヤが共演できる環境を作ろうとしました」「観客の脳が混乱するようなトリックを作ったので、『どうやってこれをやったんだ?』と思われたならいいこと」とも述べる。
劇中で物が燃えるシーンについて観客から質問が飛ぶと、ライトは笑いながら裏話を披露。「財団に許可をもらってシラ・ブラックのアルバムを使わせてもらったんですが、レコードを燃やすところだけは撮影するなと。なので燃えるシーンでは、家具が倒れてアルバムが見えなくなるようにしました」と言い、寝室が燃え盛る場面に関しては「2テイクくらい撮れるかなと思ったら、思いのほか燃えてしまって1テイクしか撮影できなかったんです。でもランプシェードがいい感じに溶けたので、『撮って!』とカメラマンをせっついて(笑)。そのシーンは実際に映画に使っています」と楽しげに述懐した。
「ラストナイト・イン・ソーホー」は12月10日より東京・TOHOシネマズ 日比谷、シネクイントほか全国でロードショー。
※「ラストナイト・イン・ソーホー」はR15+指定作品
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tAk @mifu75
エドガー・ライトが新作の演出法を解説、小島秀夫と長濱ねるは“鏡”に興味津々 https://t.co/U2ZJhnizXn