第34回東京国際映画祭のトークシリーズ「アジア交流ラウンジ」が本日11月4日に東京・東京ミッドタウン日比谷で行われ、イラン出身の映画監督
是枝裕和らの発案により、アジアを含む世界各国・地域を代表する映画人と、第一線で活躍する日本の映画人が語り合う同企画。今年は「越境」をテーマに、さまざまなゲストたちがトークを繰り広げる。
画面越しに初対面を果たしたゴバディと橋本は、それぞれ互いの作品を鑑賞して臨んだようで、橋本はゴバディ監督作「
ゴバディからは「私は溝口健二監督から大きな影響を受けました。溝口監督は“悲劇の詩人”と呼ばれていますが、彼の映像は人の心を打ちます」という話も。それを受け、橋本は「映画って8割ぐらいは希望を描いていると思うんです。『亀も空を飛ぶ』は“希望”という絶望に心を打たれました。結果的に1つの挫折を描いていたとしても、この映画が作られたことに希望を感じました」と真摯に語った。
またゴバディは「人生を味わいながら映画を撮る」ことの重要性について切り出し、「昔の作品がよかったのは、時間を掛けてじっくり作ったから」と主張する。「私たちは何かをするとき『1、2、3!』と言う。なぜ4はないのか? 人生には3回しか輝けるときがないのか? であれば、せめて3つの素晴らしい作品を残したい。1年に1本作らなくてもいい。作るときは、正しく作りたい」と制作のペースについて言及。橋本は深くうなずき、「時間は掛けられれば掛けられるほどうれしい。もちろんタイムリミットがある中で最大限努力して素敵な作品も生み出されていますが、時間を掛けて作ることがどれだけぜいたくでありがたいことかと、みんな思っているはず。『リトル・フォレスト』は1年間ぐらい掛けて撮りました。当時は山奥で孤独を感じて大変でしたが、スタッフさんたちのことは今でも大事な存在として残っています。またそういう経験ができたら」としみじみ語った。
するとゴバディから「一緒に仕事をしましょうか。日本とイランのストーリーを描くことになったら、スーツケースをまとめて、1年間のつもりでクルディスタンに来てください(笑)。私たちはスローモーションの時代を作れる力がある。一緒にゆっくり歩きましょう」と誘いが。橋本は「ぜひお願いします」と姿勢を正し、「今私は東京で速い時間の中で生きることに違和感を抱いていて。“スローライフ”がおしゃれなもののように語られていますが、きっとみんな本当の豊かさを知っているからこそ求めているんだなと、話していて腑に落ちました。これからはスローな時代を。すごく素敵ですね」と希望を込めた。
第34回東京国際映画祭は11月8日まで開催。
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