ジャファル・パナヒの息子パナーが長編デビュー作語る、ポイントはコントラスト

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第22回東京フィルメックスのコンペティション部門出品作「砂利道」が、本日11月2日に東京・有楽町朝日ホールで上映。監督を務めたパナー・パナヒがリモートで舞台挨拶を行った。

左から第22回東京フィルメックスのプログラムディレクターを務める神谷直希、パナー・パナヒ。

左から第22回東京フィルメックスのプログラムディレクターを務める神谷直希、パナー・パナヒ。

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イラン映画「砂利道」は、「白い風船」で知られるジャファル・パナヒを父に持つパナー・パナヒの長編デビュー作。ロードトリップに出た4人家族と1匹の犬の姿が描き出される。

「砂利道」

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イベントでは観客から寄せられた質問に答えていったパナー・パナヒ。長編に取り組んだ理由を尋ねられると、「ジャファル・パナヒの息子として映画を1本出すことは難しかったんです。映画を愛していますし昔から作りたかったんですが、父とは違う自分の声、アイデンティティをどうやって出すか考えていました。でもこの歳になって、今作るか、絶対やめるか決めようと。もう今だと思って作りました」と心境の移ろいを述懐。「長編映画を作る勇気はなかなか出なかった」と率直な気持ちも口にした。

「狭い自動車内と広大な大地の画でギャップがあったが、撮影で意識していたことは?」という質問が飛び出すと、「狭い、広いというコントラストはテーマの中に入れようと思っていました。本作のテーマは、“息子を国から逃がす”ということ。悲劇的な気持ちで行動する家族ですが、冗談を言ったりふざけたりもしてみんなで笑おうとする。そこでコントラストが生まれるんです。そして国境に近付くと、カメラは家族から距離を置く。彼を離すように、カメラを離すんです」と意図を明かした。

またイランで車は特別な意味を持つと言い、「屋外ではいろんな規則があります。車の中だったら好きな音楽を大きな音量で聴くことができるし、女性もスカーフを外せます。車はセカンドハウスのようなものなんです」と説明。「ストレスのある街の中の映画は好きではないので、静かなところで撮るとなったら車や自然を使うという発想になった」とも語った。

左から第22回東京フィルメックスのプログラムディレクターを務める神谷直希、パナー・パナヒ。

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劇中音楽についても多くの質問が投げ掛けられる。パナー・パナヒは「別れのときにはノスタルジックな歌や昔の歌を聴きたくなると思います。使った歌や音楽はほぼイラン革命前の時代のものなんです。今でも家族で旅するときは聴くんですが、昔の歌のほうがしっかり作られていると私は信じています」と述懐。さらに「これはイラン人のほうがわかると思いますが、私たちの歌は、音楽がハッピーでも、詩はとても悲しいものだったりします。そこにもコントラストがあるんです」と計算にもとづいた選択であったことを明かしている。

第22回東京フィルメックスは11月7日まで有楽町朝日ホールほかで開催。

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